アイルランド商標法

アイルランドにおける商標法の解説です。日本における商標法と共通する部分もありますが、異なる点もありますので注意が必要です。

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第I部 序及び総則

第1条 略称及び施行

(1) 本法は1996年商標法として引用される。

(2) 本法の規定は,大臣が政令によって指定した日から有効となる。

(3) 別の規定及び別の目的のためには,別の日が指定されることもある。

第2条 解釈

(1) 本法において,文脈上別段の解釈を要する場合を除き,次の解釈を行う。

  • 「1963年法」とは,1963年施行の商標法を意味する。
  • 「譲渡」とは,当事者によりなされた譲渡を意味する。
  • 「営業」とは,貿易又は専門職による業務を含む。
  • 「共同体商標」,及び「共同体商標規則」とは,第56条に規定された意味を有する。
  • 「長官」とは,特許意匠商標長官を意味する。
  • 「パリ条約加盟国」とは,第60条に規定された意味を有する。
  • 「裁判所」とは,高等裁判所を意味する。
  • 「取締役」とは,法人に関して,その法人の経営管理を行う者を意味する。
  • 「先の商標」とは,第11条に規定された意味を有する。
  • 「排他的ライセンス」と「排他的使用権者」とは,第33条に規定された意味を有する。
  • 「侵害訴訟手続」とは,登録商標に関して,第20条の規定に基づく手続を含む。
  • 「公報」とは,特許庁公報を意味する。
  • 「大臣」とは,企業及び雇用省の大臣を意味する。
  • 「庁」とは,特許庁を意味する。
  • 「パリ条約」とは,第60条に規定された意味を有する。
  • 「パートナーシップ」とは,1890年のパートナーシップ法第1条により規定された意味を有する。
  • 「所定の」とは,裁判所手続においては,裁判所規則に記載されている所定の事項であり,又,その他如何なる場合においても,今後制定される本法又は命令,規則又は規約に記載されている所定の事項である。
  • 「公告」とは,一般公衆の閲覧に供することであり,次の公告を意味する。
  • (a) 登録出願に関しては,第43条(1)の規定に基づく公告,及び
  • (b) 登録に関しては,第45条(4)の規定に基づく公告
  • 「登録簿」とは,第V部の規定を除き,本法に基づいて保管管理される商標登録簿を意味する。
  • 「規則」とは,裁判所の規則に関する場合を除き,第81条の規定に基づいて大臣により作成された規則を意味する。
  • 「アイルランドの記章」とは,パリ条約第6条の3の規定に基づいて知られるような記章を意味する。
  • 「商取引」とは,如何なる営業又は専門職の業務も含む。
  • 「商標」とは,第6条に規定された意味を有する。

(2) 本法でいう,商標,又は商標と同じ,又はそれと類似の,又は商標と間違え易い標識の使用(又はその使用の詳細説明)は,図的表示によるもの以外の使用(又はその使用の説明)を 含む。

(3) 本法において共同体法律文書というときは,当該法律文書を改正又は差し替える法律文書を含む。

(4) 本法において,

  • (a) ある部又はある条というときは,別の法律を意味することが示されていない限り,本法のある部又はある条をいう。
  • (b) ある項又はある号というときは,別の規定を意味することが示されていない限り,それが指している規定の項又は号をいう。

(5) 本法において,ある法律というときは,本法も含め,他の法律に基づき改正された当該法律を含む。

第3条 命令,規則及び規定

(1) 命令,規則又は規定を制定する権限が本法によって与えられる場合は,そのような命令,規則又は規定は,その権限が関連するすべての事項,又は何れか1つ又は複数の事項に関連して制定されるものとし,また,別の分類又は記載に関する事項についての別の命令,規則又は規定によって,別の規定が制定される。

(2) (3)の規定に従って,本法に基づくすべての命令,規則又は規定は,それが制定され次第直ちに,国会の各上院下院に提出されるものとし,また,当該命令,規則又は規定が議会に提出された直後から21日以内に上院下院の何れかにおいて当該命令,規則又は規定を無効にする決議が通過した場合は,それに従って当該命令,規則又は規定は無効にしなければならない。ただし,それ以前に当該法律に基づいて決定された法律の有効性については何ら影響を与えない。

(3) 次の場合,すなわち,

  • (a) 規則が第57条又は第59条の規定に基づいて制定されることが提案されている場合,又は
  • (b) 命令が第60条の規定に基づいて制定されることが提案されている場合は,

(2)は適用されず,当該命令又は規則の草案は国会の各上院下院に提出されるものとし,その後,当該命令又は規則は,当該草案を承認する決議が各上院下院で通過するまで,制定されない。

(4) 如何なる命令,規則又は規定も本法に基づいて制定され次第直ちに,それらが制定された事実及びそれらの写を入手できる場所を公示する通知が公報に掲載される。

(5) 本法に基づいて命令を制定する如何なる権限も,第1条(2)の規定に基づく命令の場合を除き,その権限の行使において制定された命令を改正したり,又は廃止したりする権限も含まれる。

第4条 費用

本法の管理権限内において大臣が負うべき費用は,大蔵大臣によって承認される範囲内において,国庫から支払われるべき。

第5条 廃止

第100条の規定に従い,1963年法はこれより廃止される。

第II部 登録商標

序文

第6条 商標

(1) 本法においては,「商標」とは,図として表現可能な如何なる標識をも意味し,ある事業の商品又はサービスを,他の事業のそれらと区別することが可能なものをいう。

(2) (1)の規定にとらわれることなく,商標は,特に,語(個人の名称を含む。),図案,文字,数字,又は,商品若しくはその包装の形状から成る。

(3) 本法において商標というときは,文脈上別段の解釈を必要としない限り,第54条の規定の意味する範囲内においての団体標章,又は第55条の規定の意味する範囲内においての証明標章を含む。

第7条 登録商標

(1) 登録商標とは,本法に基づいて商標の登録により取得された財産権であり,また,登録商標の所有者は,本法により定められた権利行使及び救済を受ける権利を有する。

(2) 登録されていない商標それ自体の侵害の防止又は賠償を請求する裁判手続はない。ただし,本法によって,詐称通用に関する法律に対しては何ら影響を与えない。

登録拒絶の理由

第8条 登録拒絶の絶対的理由

(1) 次のものに該当するものは,商標として登録されない。

  • (a) 第6条(1)の規定の要件を満たさない標識
  • (b) 識別性を何ら有していない商標
  • (c) 商品又は施されるサービスの種類,品質,数量,用途,価格,原産地,生産時期,若しくは商品又はサービスのその他の特徴を表すために商取引上役立つことができる標識又は表示のみからなる商標
  • (d) 商取引上の通用語において若しくは公正でかつ確立した商習慣において常用されるようになっている標識又は表示のみからなる商標
    ただし,商標がその登録出願の日前に使用された結果,実質的に識別性を有している場合は,(b),(c)又は(d)の規定によって登録を拒絶されない。

(2) 標識は,それが次に掲げるもののみからなる場合は,商標として登録されない。

  • (a) その商品自体の性質に由来する形状,又は
  • (b) 技術的成果を得るのに必要な商品の形状,又は
  • (c) その商品に実質的価値を与える形状

(3) 商標は,次の場合は,登録されない。

  • (a) 公の政策又は一般に容認されている道徳原理に反する場合,又は
  • (b) たとえば,その商品又はサービスの性質,品質又は原産地に関して,一般公衆を欺瞞するような性質のものである場合

(4) 商標は,次の場合又はその範囲で,登録されない。

  • (a) その使用が,アイルランドにおいて制定法又は法律の規則により若しくは共同体法の規定により禁止されている場合,又は
  • (b) 登録出願が出願人によって悪意を以ってなされた場合

第9条 特別に保護される記章

(1) アイルランドの記章又はそのような記章と見間違われ易い酷似した記章又は図案から成るか,又はそれを含む商標は,長官が大臣からその登録について同意を得て満足しない限り,登録されない。

(2) 憲法第7条に規定されているような,アイルランドの国旗を表わすものから成るか,又はそれを含む商標は,当該商標の使用が誤解を招き易いか,又は概略的に犯罪的行為となる可能性があると長官が認めた場合は,登録されない。

(3) 長官は,規則によって規定されている承認を得ない限り,公共機関の紋章,図案又は記章から成るか,又はそれを含む商標の登録を拒絶することができる。

第10条 登録拒絶の相対的理由

(1) 商標は,それが先の商標と同一であり,かつ,その商標が適用されている商品又はサービスと同類の商品又はサービスが先の商標で保護されている商品又はサービスと同一である場合は,登録されない。

(2) 商標は,次の理由がある故に,公衆に対して混同を与える虞があり,先の商標と後の商標との関連の虞を含んでいる場合は,登録されない。

  • (a) 商標が,先の商標と同一であり,かつ,先の商標で保護されている商品又はサービスと同類の商品又はサービスに対して登録されようとしていること,又は
  • (b) 商標が,先の商標と類似であり,かつ,先の商標で保護されている商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスに対して商標が登録されようとしていること

(3) 次の場合の商標は,先の商標がアイルランドにおいて(又は共同体商標の場合は共同体において),名声を得ていて,かつ,正当な理由なく後の商標を使用することが先の商標の識別性又は名声に不当な不利益をもたらし,又は有害となる場合,又はその範囲内で,登録されない。

  • (a) 先の商標と同一若しくは類似である場合,及び
  • (b) 先の商標で保護されている商品又はサービスと同類でない商品又はサービスに対して登録されることになっている場合

(4) 商標は,次の場合によって,アイルランドにおけるその使用が妨げられる対象となる場合,又はその範囲内で,登録されない。

  • (a) 未登録の商標又は商取引の過程で用いられているその他の標識を保護するための何らかの法律規則(特に,詐称通用に関する法律)による場合,又は
  • (b) (1)から(3)まで及び(a)の規定に該当しない先の権利による場合,特に,著作権法,登録意匠法又は称呼の権利,個人的肖像権,又は産業財産に関するその他の関連法による場合

(5) (4)の規定にいう法律規定又は先の権利によりある者が商標の使用を妨げる権利を有することとなる場合は,その者は,本法において商標に関する「先の権利」の権利者となるものである。

(6) 先の商標の所有者又はその他の先の権利の権利者が当該登録について同意する場合は,本条において商標の登録について妨げるものはない。

第11条 「先の商標」の意味

(1) 本法において「先の商標」とは次を意味する。

  • (a) (適する場合)その商標に関して主張されている優先権を考慮して,その商標が問題となっている商標の出願日よりも早い出願日を有している登録商標,国際商標又は共同体商標
  • (b) たとえ先に登録になっている商標又は国際商標が無効になっていたり,又は失効が認められている場合であっても,当該先に登録になっている商標又は国際商標からの優先権を有効に主張している共同体商標,又は
  • (c) 問題となっている商標の出願日に,又は(適する場合)その出願に関して主張された優先日に,パリ条約に基づいて周知商標として保護が認められている商標
  • (2) 本法において先の商標というときは,登録出願がなされ,かつ,それが登録されたことにより,(1)(a)又は(b)の規定に従い先の商標となる商標に関係する商標を含む。

(3) (1)(a)又は(b)に規定されている商標の登録が満了となった場合は,長官がその満了直前の2年間にその商標の公正な使用がなかったことを認めない限り,その満了直後の1年間は後の標章の登録性を決定する際にその商標が継続して考慮される。

第12条 正当な同時使用の場合の相対的理由の提示

(1) 本条は,長官が商標登録出願について,次の事実を認めた場合に適用される。

  • (a) 先の商標があり,その商標に関連して第10条(1)から(3)までに規定されている条件の何 れかが適用されること,又は
  • (b) 先の権利があり,その先の権利に関連して第10条(4)に規定されている条件が満たされること

ただし,出願人は,長官の承認に対し,登録が要求されている当該商標の正当な同時使用であることを示す。

(2) 本条が適用される場合は,先の商標の所有者又は他の先の権利の権利者により当該理由についての異議が異議手続において提起されていない限り,長官は,先の商標若しくは他の先の権利の理由でこの出願を拒絶してはならない。

(3) 本条の適用上,「正当な同時使用」とは,アイルランドにおいて出願人によるか又はその同意による使用であって,先に1963年商標法第20条(2)の規定の適用上の正当な同時使用と同等のものを意味する。

(4) 次の事項に対して,本条は何ら影響を与えない。

  • (a) 第8条の規定に記載されている理由による登録の拒絶,又は
  • (b) 第52条(2)の規定に基づく無効宣言の申請を行うこと

登録商標の効力

第13条 登録商標により付与される権利

(1) 登録商標の所有者は,商標における排他的権利を有するものとし,また,そのような権利は,当該商標所有者の同意を得ずにアイルランドにおいてその商標を使用した場合は侵害された。また,第14条の規定にいう行為は,当該商標所有者の同意を得なかった場合は,当該商標所有者の権利を侵害したことになる。

(2) 本法において登録商標の侵害というときは,当該登録商標の所有者の権利の侵害をいう。

(3) 登録商標の所有者の権利は,(第45条(3)の規定の通り)当該登録商標の登録日から有効となる。

(4) (3)の規定に拘らず,次の通りとする。

  • (a) 侵害訴訟手続は,当該商標の登録の公告日前には,開始されない。及び
  • (b) その日前になされた第92条に規定する如何なる行為も,犯罪行為とはみなされない。

第14条 登録商標の権利侵害

(1) 既に登録されている商標の商品又はサービスと同一の商品又はサービスに関する商標と同一の標識を,商取引の過程において使用する者は,当該登録商標を侵害する。

(2) 次の理由がある故に,公衆に対して混同を与える虞があり,標識と商標との関連の虞を含んでいる場合は,商取引の過程においてその標識を使用する者は,その登録商標を侵害する。

  • (a) その標識が当該商標と同一であり,かつ,当該商標が登録されている商品又はサービスと同類の商品又はサービスに関して用いられること,又は
  • (b) その標識が当該商標と類似であり,かつ,当該商標が登録されている商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスに関して用いられること

(3) 次の標識を商取引の過程において使用する者は,商標がアイルランドにおいて名声を得ており,かつ,正当な理由なくその標識を使用することが,当該商標の識別性又は名声に不当な不利益をもたらし,又は有害となる場合は,その登録商標を侵害する。

  • (a) 当該商標と同一又は類似である標識,又は
  • (b) 当該商標が登録されている商品又はサービスと同類でない商品又はサービスに関して用いられる標識

(4) 本条の適用上,標識の使用については特に次の行為を含む。

  • (a) その標識を商品又はその包装に付すること
  • (b) 当該標識を付して商品を販売に供するか若しくは展示するか,市場に投入するか若しくはこれらの目的のために貯蔵するか,又は当該標識を付してサービスを申出するか提供すること
  • (c) 当該標識を付して商品を輸入又は輸出すること,又は
  • (d) 当該標識を商業文書又は広告に使用する場合

(5) 商品のラベル付け又は包装のために,商業文書として,又は,商品又はサービスを広告するために使用すべく素材に登録商標を利用する者は,その者が当該商標を利用したときに,当該商標の利用が当該登録商標の所有者又は使用権者により正当に許可されていないことを知っていた又はそれを信じるに足る理由を有していた場合は,当該登録商標を侵害するその素材の使用についての当事者として取り扱われる。

(6) 本条の前記各規定の何れも,登録商標の所有者又は使用権者の商品又はサービスとして商品又はサービスを識別する目的である者が当該登録商標を使用することを妨げるものと解するものではない。ただし,正当な理由のない当該使用が,当該登録商標の識別性又は名声に不当な不利益をもたらし,又は有害となる場合は,工業上又は商業上の公正な慣習に従った使用以外の如何なる当該使用も,当該登録商標を侵害するものとみなされる。

第15条 登録商標の効力の制限

(1) 登録商標は,他の登録商標が登録されている商品又はサービスに関する当該他の登録商標の使用によっては侵害されない。ただし,第52条(6)の規定に従う。

(2) 登録商標は次の使用によっては侵害されない。

  • (a) ある者による自己の名称又は住所の使用
  • (b) 商品又は施されるサービスの種類,品質,数量,用途,価格,原産地,又は生産時期若しくは商品又はサービスのその他の特徴に関する表示の使用,又は
  • (c) 特に付属品又は予備部品のような製品又はサービスの用途を表示する必要がある場合の商標の使用
    ただし,そのような使用は,工業上及び商業上の公正な慣習に従ったものである場合に限る。

(3) 登録商標は,特定の地方にのみ通用する先の権利が当該地方における商取引の過程で行使されることによっては侵害されない。

(4) (3)の規定の適用上,「先の権利」とは,次の事項より先の日から,ある者又はその権限ある前任者によって商品又はサービスに関して継続して使用されている未登録の商標又はその他の標識を意味する。

  • (a) 商標所有者又はその権限ある前任者によるその商品又はサービスに関しての最初に述べた商標の使用,及び
  • (b) 商標所有者又はその権限ある前任者の名義でのそれらの商品又はサービスの関しての最初に述べた商標の登録

また,先の権利は,特定の地方における行使が何らかの法律の規定,特に詐称通用に関する法律によって保護されている場合,又はその範囲内で,その地方において通用するものとみなす。

第16条 登録商標により付与される権利の消尽

(1) 登録商標は,その所有者により又はその同意を得て当該商標の下に欧州経済地域(European Economic Area)の市場に出されている商品に関して当該商標を使用することによっては侵害されない。

(2) (1)の規定は,当該商標所有者がその商品を更に扱うことに反対する正当な理由がある場合,特に,その商品が市場に出された後にその商品の状態が変更されたり,又は損なわれてしまった場合は,適用されない。

第17条 権利の部分放棄又は限定を条件とする登録

(1) 商標の登録出願人又は登録商標の所有者は,次の事項を行う。

  • (a) 当該商標の特定の要素の排他的ライセンスを部分放棄すること,又は
  • (b) その登録によって付与される権利は特定の領域的又はその他の限定に従うことに同意す ること

また,商標の登録が権利の部分放棄又は限定を条件とする場合は,第13条の規定により付与される権利は,これに応じて制限される。

(2) 商標登録の出願について,長官が,当該商標のある特定の要素の識別性を認めず,かつ,その要素を当該商標に含めることにより当該商標の保護の範囲に関して疑義が生じる虞がある場合は,長官は,当該出願人が長官の指定した期間内に(1)(a)の規定に基づき当該要素に関して権利の部分放棄をすることに同意しない限り,その出願を受理することを拒絶することができる。

(3) 権利の部分放棄又は限定の詳細事項は登録簿に登録される。

侵害訴訟手続

第18条 権利侵害訴訟

(1) 登録商標が権利侵害される場合は,その商標所有者は侵害訴訟を起こすことができる。

(2) 登録商標の権利侵害訴訟において,その所有者は,他の所有権の侵害について利用できるような損害賠償,差止命令,計算訴訟又はその他の方法による救済手段のすべてを利用することができる。

第19条 違反標識抹消等に関する命令

(1) ある者が登録商標を権利侵害していることを発見された場合は,裁判所はその者に対して次の事項を要求する命令を発することができる。

  • (a) その者が所有,保管又は管理している侵害にあたる商品,素材又は物品から違反標識を抹消し,除去し,又は隠蔽すること,又は
  • (b) その違反標識を抹消し,除去し,又は隠蔽することが無理なく実施できない場合は,問題の侵害にあたる商品,素材又は物品の破棄を保証すること

(2) (1)の規定に基づく命令に応じないか,若しくはそのような命令に応じない可能性があるものと裁判所が認める場合は,裁判所は,場合により,裁判所が当該標識の抹消,除去又は隠蔽,若しくは廃棄を指示ができる者へ,当該侵害にあたる商品,素材又は物品を引き渡すよう命令することができる。

第20条 侵害商品,素材又は物品の引渡命令

(1) 登録商標の所有者は,ある者が商取引又は商取引目的の他の手段(販売又は賃借のための申出又は提示を含む。)の過程で所有,保管又は管理している侵害にあたる商品,素材又は物品を自己に又は裁判所が指示できる当該他の者に引き渡す命令を発するよう,裁判所に申請することができる。

(2) 侵害にあたる商品,素材又は物品の引渡のための申請書は,第22条に定める期間の満了後に提出してはならない。また,裁判所が第23条の規定に基づく命令を発するか又はその命令を発するに足る理由があるものと裁判所が認めない限り,そのような命令は発せられない。

(3) 本条の規定に基づく命令に従い侵害にあたる商品,素材又は物品の引渡を受ける者は,第23条に基づく命令が発せられていない場合は,当該条に基づく命令が発せられるまで又はその命令が発せられない旨の決定がなされるまで,それらを保有しなければならない。

(4) 本条の如何なる規定も,裁判所のその他の権限に影響を与えるものではない。

第21条 「侵害商品,素材又は物品」の意味

(1) 本法においては,「侵害商品」,「侵害素材」及び「侵害物品」という表現は,以下に定義された意味を有する。

(2) 商品又はそれらの包装に,登録商標と同一又は類似の標識が付され,かつ,次の何れかの場合は,その商品は当該登録商標に関して「侵害商品」とされる。

  • (a) 当該商品又はその包装に標識を利用することが当該登録商標の侵害となった場合,又は
  • (b) 当該商品がアイルランドへ輸入されており又は輸入されようとしており,アイルランドにおいて当該商品又はその包装に当該商標を利用することが当該登録商標の侵害となる場合,又は
  • (c) その他当該登録商標を侵害するような方法で当該商品に関し標識が利用されている場合

(3) (2)(b)の如何なる規定も,欧州連合(European Union)を管理するために設立又は提起された如何なる権利,若しくは同条約に基づきアイルランドに合法的に輸入された商品にも,適用されることはない。

(4) 素材に,登録商標と同一又は類似の標識が付され,かつ,次の何れかの場合は,その素材は当該登録商標に関して「侵害商品」とされる。

  • (a) その素材が,登録商標を侵害するような方法で,商品をラベル付けし又は包装するため,商業文書として,若しくは商品又はサービスを広告するために使用される場合,
  • (b) その素材が使用されようとし,その使用が当該登録商標を侵害することとなる場合

(5) 登録商標に関して「侵害物品」とは,次の物品を意味する。

  • (a) 当該商標と同一又は類似の標識の複製を作るために特別に設計され又は調整された物品,及び
  • (b) ある者が,その物品が侵害にあたる商品又は素材を製造するために使用されていた又は使用されることを知り又はそのことを信じるに足る理由を有しており,その者の所有,保管又は管理下にある物品

第22条 引渡の救済ができなくなる期間

(1) 本条の規定に従うことを条件として,第20条の規定に基づく命令の申請は,次の日から6年を経過した後では,提出できない。

  • (a) 侵害商品の場合は,当該商標がその商品又は包装に利用された日
  • (b) 侵害素材の場合は,当該商標がその素材に利用された日,又は
  • (c) 侵害物品の場合は,それが作成された日

(2) (1)の規定の期間の全体又は一部の期間中に,当該登録商標の所有者が,

  • (a) 行為無能力の状態である場合,又は
  • (b) 当該商標所有者に命令を申請する権限があるという事実の発見が詐欺行為又は隠蔽行為によって妨げられている場合は, 申請は,当該商標所有者が行為無能力の状態でなくなった日,又は,場合により,相当の注意をして前記の事実を発見した日から6年の期間が満了する前は,何時でも提出できる。

(3) ある者が,1957年の時効の制定法の適用上,行為無能力の状態である場合は,(2)の規定の適用上も,行為無能力の状態である。

第23条 侵害商品,素材又は物品の処分に関する命令

(1) 侵害にあたる商品,素材又は物品が第20条の規定に基づく命令に従って引渡を受けた場合は,次の事項に対する申請を裁判所へ行うことができる。

  • (a) 裁判所が適当と認める者に対する,前記侵害にあたるものを破壊又は没収すべき旨の命令,又は
  • (b) そのような命令を発するべきでない旨の決定

(2) 裁判所は,(必要な場合)如何なる命令がなされるべきであるかを考慮するにあたり,当該登録商標の侵害訴訟において受けることのできる他の救済が,その商標所有者及び使用権者の利益を補償し,かつ,保護するために十分であるか否かを考慮しなければならない。

(3) 裁判所の規則により,商品,素材又は物品について利害関係を有する者について通知の 送達に関する規定を定めることができるものとし,かつ,その者は,次の権利を有する。

  • (a) 通知が送達されていたか否かに拘らず,本条に基づく命令を求める手続に参加する権利,及び
  • (b) 参加していたか否かに拘らず,発せられた命令に対し上訴する権利

また,裁判所が他に指示を出さない限り,命令は,上訴の通知を行うことができる期間の末日まで,効力を生じず,若しくは,その期間の末日前に上訴の通知が正式に行われた場合は,その上訴に関する手続の最終決定又は放棄まで,効力を生じない。

(4) 商品,素材又は物品に利害関係のある者が2人以上いる場合は,裁判所は,それが適当と認める命令を発する。。

(5) 本条の規定に基づく命令を発するべきでないと裁判所が決定する場合は,引渡前に当該商品,素材又は物品を所有,保管又は管理していた者は,それらの返還を受ける権利を有する。

(6) 本条の規定において,商品,素材又は物品について利害関係を有する者というときは,1963年の著作権法第27条に基づき,有利な命令を受けることができる何人をも含む

第24条 侵害訴訟手続の理由のない脅迫に対する救済

(1) 次に関する以外の事項について登録商標の侵害訴訟手続をとると他人を脅迫する場合は,被害者は,本条の規定に基づき救済を求める申請を裁判所に行うことができる。

  • (a) 商品に対する当該商標の利用
  • (b) 当該商標が利用されている商品の輸入,又は
  • (c) 当該商標の下でのサービスの提供

(2) (1)に記載の申請できる救済とは,次の何れかである。

  • (a) その脅迫が不当である旨の宣言
  • (b) その脅迫の継続の差止命令
  • (c) その脅迫によって被った損失に関する損害賠償

(3) 侵害訴訟手続をとると脅迫した当該手続に関する行為が当該登録商標の侵害を構成する(又は行われた場合は構成するであろう)ことを,被告が証明しない限り,原告は,(2)の規定にいう救済を受ける権利を有する。

(4) (3)の規定に拘らず,商標の登録が無効であるか又は該当事項について無効とされる可能性があることを原告が証明する場合は,原告は,(2)の規定にいう救済を受ける権利を有する。

(5) 商標が登録されるという通知又は登録出願がなされたという通知それ自体は,本条の適用上,侵害訴訟手続の脅迫とはならない。

第25条 侵害商品,素材又は物品;差押及び調査の権原

(1) 侵害にあたる商品,素材又は物品が,商取引又は商取引目的の他の手段(販売のための申出又は提示を含む。)の過程で,ある者の所有,保管又は管理の下にあることを信じるに足る正当な理由があると,地方裁判所が認めた場合は,地方裁判所は,当該商品,素材又は物品を,令状なしに押収し,かつ,それらを地方裁判所に持ち込むことを監査委員(旧憲兵隊:Garda Siochana)に,命令をもって,認めることができる。

(2) 侵害にあたる商品,素材又は物品が,商取引又は商取引目的の他の手段の過程で,訴の事実にあることを疑う正当な理由があると,地方裁判所の判事が,宣誓した情報より認める場合は,当該判事は,刑事以下の資格ではない監査委員を指名して,当該監査委員が,必要に応じて他の委員と共にその訴の事実を掴み,必要な場合は武力を以って当該商品,素材又は物品を押収し,かつ,それらを裁判所に持ち込むことを認める捜査令状を交付できる。

(3) (1)又は(2)の規定に基づき当該裁判所に持ち込まれた商品,素材又は物品が侵害にあたる商品,素材又は物品であることを示す当該地方裁判所へ出された証拠に基づき,当該裁判所は次の命令を出すことができる。

  • (a) それらのものを関係する当該登録商標の所有者へ引き渡す旨の命令
  • (b) 当該裁判所が適切と認める者に,それらのものを破棄又は没収させる旨の命令,又は
  • (c) 当該裁判所が適切と認める方法で,それらのものを処分する旨の命令

(4) 本条の規定に基づく裁判所の権原は,当該商品,素材又は物品が当座存在し,又は場合により,関係する当該事実の立地した地方の地方裁判所の判事が行使する。

財産権の対象としての登録商標

第26条 登録商標の性格

登録商標とは動産である。

第27条 商標の共有

(1) 1つの商標に利害を有する2人又はそれ以上の者の関係が,次の場合にあるとき以外では,本人と他の1人又はその他の者の間の誰もが単独ではそれを使用する権利を有していない場合は,それらの者は当該商標の共有者として登録できる。

  • (a) 両者又はそれらの者全員による場合,又は
  • (b) 両者又はそれらの者全員が商取引の過程で関係している物品に関しての場合

(2) (1)に規定されている場合を除き,商標を個別に使用するか又は使用しようとする2人若しくはそれ以上の者を商標の共有者として登録することは,本法の如何なる規定からも許されない。

(3) (4)の規定に従うことを条件として,(1)の規定に従い,2人若しくはそれ以上の者が1つの商標の共有者として登録される場合は,本法は,当該権利があたかも個人に付与される如くに,それら全員に付与される当該商標を使用する如何なる権利に関しても,効力を有する。

(4) 1つの商標の共有者(本項において「共有者」という。)として登録される如何なる1人の権利も,次の場合の商品又はサービスについて物質的又は他の関係で当該商標を使用する他の共有者により侵害されるものとみなされる。

  • (a) 当該商標がそのように登録される商品又はサービスに関しての場合,ただし
  • (b) 当該共有者の両者又は全員がその商取引に関係していない商品又はサービスの場合

第28条 登録商標の譲渡等

(1) 登録商標は,譲渡,遺言による贈与又は法律の施行により他の動産と同様に移転することができ,また,営業ののれんと共に又はこれとは別個に移転することができる。

(2) 登録商標の譲渡又はその他の移転は,部分的に,すなわち,次の何れかに適用するように制限することができる。

  • (a) 当該商標が登録されている商品又はサービスの全部ではなく一部に関して,又は
  • (b) 当該商標の特定の態様又は特定の地方における使用について

(3) 登録商標の譲渡又は登録商標に関する継承財産付与証書は,それが譲渡人又はその代理人,若しくは場合により,人格代表者が署名した文書によるものでない限り,効力を有さない。また,この要件は,当該譲渡人又は人格代表者が法人である場合は,その印章を押捺することにより満たされる。

(4) (1)から(3)までの規定は,その他の譲渡に関して行われるのと同様の担保の方法による譲渡に適用される。

(5) 登録商標は,他の動産と同様に,担保の対象となる。

(6) 本法の如何なる規定も,営業のれんの一部として行われる未登録の商標の譲渡又はその他の移転に影響を及ぼすものと解してはならない。

第29条 登録商標に影響を与える取引の登録

(1) 次の者によって所定の様式で長官に行われた申請に基づき,取引の詳細事項は,所定の様式で登録簿に記載される。

  • (a) 登録可能な取引により登録商標に利害関係を有するか又は登録商標に基づく権利を有することを主張する者,又は
  • (b) そのような取引により影響を受けることを主張する者

(2) 次の事項は,本法の適用上の登録可能な取引である。

  • (a) 登録商標又はこれに属する権利の譲渡
  • (b) 登録商標に基づくライセンスの付与又は譲渡
  • (c) 登録商標又はこれに属する又は基づく権利に関する約定担保権(固定か浮動かを問わない。)の付与
  • (d) 登録商標又はこれに属する又は基づく権利に関して人格代表者による継承財産付与証書の作成,及び
  • (e) 登録商標又はこれに属する又は基づく権利の裁判所又は所轄当局による移転命令

(3) 登録可能な取引の所定の詳細事項の登録申請がなされる迄は,次の規定に従わねばならない。

  • (a) 当該取引は,それを知らないで,登録商標について又はそれに基づいて相反する利益を取得した者に対しては,効力を有さない。及び
  • (b) 当該取引により使用権者であることを主張する者は,第34条又は第35条の規定の保護を受けることができない。

(4) ある者が,登録可能な取引により登録商標の所有者又は使用権者となる場合は,次の何れかの場合に該当しない限り,当該取引の日後であって当該詳細事項の登録申請がなされる前に生じた当該登録商標の侵害に関しては,損害賠償又は利益算定を受ける権利を有さない。

  • (a) 当該取引の詳細事項の登録申請が,当該取引の日から6月以内に行われている場合,又は
  • (b) 裁判所が,そのような申請を当該期間内に行うことが実行不可能であり,かつ,その申請がその後直ちに行われたと認める場合

(5) 本条の規定により登録簿に記載された登録可能な取引の詳細事項の訂正又は削除について,規則により規定を定めることができる。

第30条 信託及び衡平法

(1) 信託(明示の又は黙示の若しくは擬制の信託)の通知は,登録簿には記載されない。また,長官は,そのような通知により影響を受けない。

(2) 本法の規定に従うことを条件として,登録商標に関する衡平法は,他の動産に関するのと同様な方法で施行することができる。

第31条 財産権の対象としての商標登録出願

(1) 第26条から第30条までの規定は,必要な修正を加えて,登録商標に関して適用されるのと同様に,商標登録出願に関して,適用される。

(2) 商標登録出願に影響を与える取引に関して適用される第29条の規定において,詳細事項の登録簿への記入というとき,及び,詳細事項の登録申請というときは,長官に対しこれら の詳細事項を通知することをいうものと解する。

(3) (2)にいう通知に続く手続は,規則により規定を定めることができる。

ライセンス許諾 第32条 登録商標のライセンス許諾

(1) 登録商標のライセンスは,包括的又は限定的とすることができる。

(2) 限定的ライセンスは,特に,次の場合に適用される。

  • (a) 当該商標が登録されている商品又はサービスについての全部でなく一部に関しての場合,又は
  • (b) 特定の態様で又は特定の地方における当該商標の使用の場合

(3) ライセンスは,許諾者により又はその代理人により署名された書面によるものでない限り,効力を有さないものとし,この要件は,当該許諾者が法人である場合は,その印章を押捺することにより満たされる。

(4) ライセンスに他に規定がない限り,当該ライセンスは,その許諾者の権利の承継人を拘束する。また,本法において,登録商標の所有者の同意を得て又は得ないで行うというときは,それに応じて解釈される。

(5) 当該ライセンスがその旨規定する場合は,サブライセンスが使用権者によって付与される。また,本法において,ライセンス又は使用権者というときは,サブライセンス又は再使用権者を含む。

第33条 排他的ライセンス

(1) 本法において「排他的ライセンス」とは,使用許諾者を含む他のすべての者を排除して,ライセンスにより認められる態様で登録商標を使用する権利を使用権者に認めるライセンス(包括的か限定的かを問わない。)を意味する。また,「排他的使用権者」という表現は,それに応じて解釈される。

(2) 排他的使用権者は,ライセンスにより拘束される権原の承継人に対し,当該使用許諾者に対して自己が有しているのと同じ権利を有する。

第34条 侵害事件における使用権者に関する一般規定

(1) 本条の規定は,第35条(2)の規定により,当該使用権者が自己の名義で訴訟手続を行う権利を有する場合又はその範囲についてを除き,登録商標の侵害に関する使用権者の権利について効力を有する。

(2) 使用権者は,当該ライセンス又は自己の利益が由来している何らかのライセンスにおいて別に定めない限り,自己の利益に影響を及ぼす事項についての侵害訴訟手続を提起するよう当該登録商標の所有者に対して要求する権利を有する。

(3) 当該商標所有者が次の何れかに該当する場合は,使用権者は,自己が商標所有者であるかの如く自己の名義で,その訴訟手続を行うことができる。

  • (a) (2)の規定に基づき要求された場合に,その訴訟手続を提起することを拒否する場合,又は
  • (b) そのような要求があって後2月以内にそのように提起しない場合

(4) 本条の規定により侵害訴訟手続が使用権者によって提起される場合は,使用権者は,当該商標所有者が原告として参加するか又は被告として加えられない限り,裁判所の許可を得ないで当該訴訟手続を進めることはできない。ただし,本項の規定は,使用権者単独の申請に基づく仮の救済を認めることについて影響を及ぼすものではない。

(5) (4)にいう被告として加えられる商標所有者は,自己が当該訴訟手続に参加しない限り,当該訴訟における費用を負担する責任を負わない。

(6) 登録商標の所有者によって提起された侵害訴訟において,裁判所は,使用権者が被った又は被る虞のある損害を斟酌する。また,裁判所は,原告が使用権者のために獲得すべき金銭的救済の額の範囲について裁判所が適当と認める指示を与えることができる。

(7) 本条の規定は,排他的使用権者が,第35条(1)の規定により,自己が当該登録商標の所有者であるのと同様に譲受人の権利と救済を有する場合又はその範囲内において,排他的使用権者に適用される。

第35条 譲受人の権利と救済を有する排他的使用権者

(1) 排他的ライセンスには,その使用権者が,当該ライセンスによって定めることができる範囲内において,ライセンスの後に生じる問題について当該ライセンスが譲渡であるのと同じ権利と救済を有することを定めることができる。

(2) (1)にいう規定が定められ又はその範囲内において,使用権者は,ライセンスの規定及び本条の以下の規定に従うことを条件として,当該商標所有者以外の者に対しても自己の名義で,侵害訴訟手続を提起する権利を有する。

(3) 排他的使用権者のこのような権利及び救済は,当該登録商標の所有者の権利及び救済と併存する。侵害に関する本法の規定において,登録商標の所有者というときは,それに応じて解釈される。

(4) 本条の規定により,排他的使用権者によって提起された訴訟において,被告は,当該登録商標の所有者が訴訟を提起した場合に利用できる如何なる防御手段も自身で利用することができる。

第36条 併存権利の行使

(1) 商標所有者又は排他的使用権者によって提起された登録商標の侵害訴訟手続が,当該者が併存的訴権を有する侵害と(全部又は一部分)関係する場合は,商標所有者又は場合により排他的使用権者は,何れか他方の者が原告として参加するか又は被告として加えられない限り,裁判所の許可なく訴訟を進めることができない。ただし,この規定は,商標所有者又は排他的使用権者の何れか一方のみの申請に基づく仮の救済を認めることに影響を及ぼすものではない。

(2) (1)にいう被告として加えられる者は,自己が当該手続訴訟に参加しない限り,当該訴訟における費用を負担する責任を負わない。

(3) 登録商標の侵害訴訟が提起され,それが商標所有者又は排他的使用権者が併存的訴権を有する又は有していた侵害と(全部又は一部分)関係している場合は,次のとおりとする。

  • (a) 裁判所は,損害額の算定にあたって次の事項を斟酌する。
  • (i) ライセンスの条件,及び
  • (ii) 既に受けた金銭的救済若しくは商標所有者又は排他的使用権者の何れかが侵害について求めることができる金銭的救済
  • (b) 損害額の算定が行われているか又は利益の計算が指示されているときは,当該侵害について商標所有者又は排他的使用権者の何れか他方に有利な利益の計算は指示されない。及び
  • (c) 裁判所は,利益の計算を指示するときは,商標所有者又は排他的使用権者間の取決に従うことを条件として,裁判所が適正と認める割合に応じて両者間に配分する。

(4) (3)の規定は,商標所有者又は排他的使用権者の双方が当該訴訟の当事者であるか否かに拘らず,適用される。また,双方が当事者でない場合は,裁判所は,訴訟手続の当事者が,他方の当事者のために獲得すべき金銭的救済の額の範囲について裁判所が適当と認める指示を与えることができる。

(5) 登録商標の所有者は,第20条の規定に基づく命令を申請する前に,併存的訴権を有する排他的使用権者に通知する。また,裁判所は,そのライセンスの条件を考慮した上で,当該使用権者の申請に基づき,裁判所が適切と認めるような当該条に基づく命令を出すことができる。

(6) 本条の規定は,排他的使用権者と商標所有者との間の取決にも拘らず,効力を有する。

登録商標の出願  第37条 登録出願

(1) 商標の登録出願は,所定の様式に所定の情報を含めて,長官に対して行う。

(2) 当該出願には,出願人により又はその同意を得て,当該出願に指定されている商品又はサービスについて当該商標が使用されていること,若しくは,当該出願人が,そのように使用する真正な意志を有していることを陳述しなければならない。

(3) 当該出願は,適正な出願手数料の納付を条件とする。

第38条 出願日

(1) 商標登録出願の出願日は,当該出願人により所定の書類が長官に提出された日とする。また,その書類が異なった複数の日に提出された場合は,その出願日はそれらの最後の日とする。

(2) 本法において,登録の出願日というときは,その出願の提出日をいう。

第39条 商品及びサービスの分類

(1) 商品及びサービスは,商標の登録のために,所定の分類制度に従い分類される。また,各々の商標は,特定の商品又はサービスに関し,若しくは,商品又はサービスの分類に関して登録される。

(2) 商品又はサービスが何れの類に属するかについて生じる疑義は,長官によって決定されるものとし,その決定は終局のものとなる。

優先権  第40条 パリ条約に基づく優先権主張

(1) パリ条約加盟国において商標の保護のため正規に出願(本法において「パリ条約出願」という)をした者,又は,その権原ある承継人は,当該最初のパリ条約出願の出願日から6月間,同じ商品又はサービスの一部又は全部について同じ商標を本法に基づき登録するための,優先権を有する。

(2) 本法に基づく当該登録出願が(1)に規定の所定期間内になされた場合は,次のとおりとする。

  • (a) 何れの権利が先の順位であるかを確定するための基準日は,最初のパリ条約出願の出願日とする。及び
  • (b) 当該商標の登録可能性は,当該基準日と本法に基づく出願の出願日との間のアイルランドにおける当該商標の使用によっては,影響を受けない。

(3) パリ条約加盟国において,国内法又は国際協定に基づき正規の国内出願とされるすべての出願は,優先権を生じさせるものとして取り扱われる。また,このため「正規の国内出願」とは,当該出願の結果の如何を問わず,当該国に出願をした日付を確定するために適するすべての出願をいう。

(4) 最初のパリ条約出願と同じ対象について同じパリ条約加盟国においてなされた後の出願は,当該後の出願時において,次の場合に該当する場合は,最初のパリ条約出願(その出願日が優先権期間の初日である。)とみなされる。

  • (a) 先の出願が,公衆の閲覧に付されず,かつ,如何なる権利も存続させないで,取り下げられ,放棄され又は拒絶された場合,及び
  • (b) 先の出願が,未だ優先権主張の基礎とされていない場合
    また,このような場合において,当該先の出願は,これ以後,優先権主張の基礎とすることができない。

(5) パリ条約出願を基礎として優先権を主張する方法については,規則により規定を定めることができる。

(6) パリ条約出願の結果として生じる優先権は,出願と共に又は出願とは別個に譲渡又は移転することができる。また,(1)の規定において,権原ある承継人というときは,それに応じて解する。

第41条 他の関連外国出願からの優先権主張

(1) 本条の規定は,アイルランドが商標の相互保護に関する国際条約,協定,取決又は合意を締結している国又は地域にも適用される。

(2) 政府は命令により,本条が適用される国又は地域において正規に商標の保護のための出願をなした者に対し,当該出願の出願日から特定の期間,同じ商品又はサービスの一部又は全部について本法に基づいて同じ商標を登録する目的で,優先権を付与するための規定を定めることができる。

(3) 本条の規定が適用される国又は地域に関して,本条の規定に基づく命令により,パリ条約加盟国に関する第40条の規定によりなされている規定に相応する規定又は政府にとって適正であると認める規定を定めることができる。

登録手続  第42条 出願の審査

(1) 長官は,商標の登録出願が本法の要件(規則によって課される要件を含む。)を満たしているか否かについて審査する。また,本条において,それらの要件は,「登録要件」という。

(2) 長官は,登録要件が満たされていないと認める場合は,出願人にその旨を通知し,かつ,長官が指定する期間内に説明又は出願の補正を行う機会を与える。

(3) 出願人が登録要件を満たしていることを長官に認めさせることができない場合,又は要件を満たすように補正することができない場合,若しくは指定された期間の終了までに応答することができない場合は,長官は,その出願を受理することを拒絶する。

(4) 長官は,登録要件が満たされているものと認める場合は,その出願を受理する。

第43条 公告,異議申立手続及び所見

(1) 登録出願が受理された場合は,長官は,公報にその出願を公告させる。

(2) 何人も,公報での当該出願の公告の日から所定の期間内に,長官にその登録に対する異議申立の通知を行うことができる。また,この通知は,所定の方式の書面により行うものとし,異議申立の理由の陳述を含む。

(3) 出願が公報に公告された場合は,何人も,当該商標の登録前は何時でも,当該商標が登録されるべきか否かについて長官に対し書面による所見を提出することができる。また,長官は,その所見を当該出願人に通知する。

(4) (3)に述べる所見を提出する者は,これによってその出願に関する手続の当事者になることはできない。

第44条 出願の取下,限定及び補正

(1) 出願人は何時でも,書面による通知により,自己の出願を取り下げ又はその出願で指定された商品又はサービスを限定することができる。また,その出願が公報に公告されている場合は,取下又は限定も公報に公告される。

(2) (1)に述べる取下は,その取下の通知の日から3月の後は撤回できない。

(3) (1)の規定以外の場合においては,出願人の請求により,補正が当該商標の同一性に実質的に影響を及ぼさない限り,又は当該出願で指定された商品又はサービスの範囲を拡大しない限り,出願を補正することができ,また特に,(この制限に従うことを条件にして)次の事項を訂正する補正をなすことができる。

  • (a) 出願人の名称又は住所
  • (b) 語句又は写の誤記,又は
  • (c) 明らかな誤り

(4) 商標の表示又は当該出願で指定された商品又はサービスの表示に影響を及ぼす補正の公告に関し,及び,それによって影響を受けることを主張する者が不服申立をすることに関しては,規則により規定を定める。

第45条 登録

(1) 出願が受理され,かつ次の場合は,長官は,当該出願を受理した後に知るに至った事情により,その出願が間違って受理されたものと認めない限り,当該商標を登録する。

  • (a) 第43条(2)に規定する期間内に異議申立の通知がなされていない場合,又は
  • (b) すべての異議申立手続が取り下げられ若しくは当該出願人の有利に決定されている場合

(2) 商標は,所定の期限内に所定の登録料が支払われない限り,登録されないものとし,また,所定の期限内に登録料が支払われない場合は,その出願は取り下げられたものとみなされる。

(3) 商標が登録されたときは,登録出願の出願日に登録された。また,本法の適用上,その日が登録日とみなされる。

(4) 商標の登録に基づき,長官は,当該登録を公報に公告するものとし,かつ,当該出願人に登録証を交付する。

(5) 当該登録手続は,(4)の規定に基づく公告の日に完了したものとみなされる。また,その日が登録簿に記載される。

第46条 登録:追加規定

(1) 次の事項は,規則により規定を定めることができる。

  • (a) 単一の商標登録出願を,原出願と同じ出願日を有する複数の出願に分割すること
  • (b) 独立した出願又は登録を併合すること,及び
  • (c) 連続商標を1つの登録にまとめて登録すること

(2) 「連続商標」とは,それらの本質的特徴が互いに類似しており,かつ,商標の同一性に実質的な影響を及ぼさない識別性のない事項のみが相違しているいくつかの商標をいう。

登録商標の存続期間,更新及び変更  第47条 登録の存続期間

(1) 商標は,登録日から10年間登録される。

(2) 登録は,第48条の規定に従い,更に10年間その期間を更新できる。

第48条 登録の更新

(1) 商標の登録は,所定の更新手数料に支払を条件として,その商標所有者の申請により更新できる。

(2) 登録の期間満了前に,長官が満了日及び当該登録を更新する方法を当該登録商標の所有者に通知することに関し,規則により規定を定めることができる。

(3) (4)の規定に従うことを条件として,更新の申請及び更新手数料の支払は,登録の満了前にしなければならない。

(4) (3)の規定が満たされていない場合は,更に所定の追加期間(6月を超えない。)内に更新を申請し当該手数料を支払うことができる。この場合は,当該期間内に所定の追加更新手数料も支払わなければならない。

(5) 更新の期間は,その前の登録の期間満了から有効である。

(6) 前記の規定に従い登録が更新されない場合は,長官は,当該商標を登録簿から抹消する。ただし,所定の要件がある場合はその要件に従うことを条件として,登録簿から抹消された商標の登録を回復することに関し,規則により規定を定めることができる。

(7) 商標の登録の更新,抹消若しくは回復は,公報に公告される。

第49条 登録商標の変更

(1) 登録商標の所有者は,商標の同一性に実質的に影響を及ぼさない方法で商標の追加若しくは変更を求めることを長官に所定の様式で申請することができる。また,長官は,自己が適切と認める条件に基づき,かつ,そのような制限に従うことを条件として,その認可を拒絶することができる。

(2) 長官がそうすることが望ましいと認める場合は,長官は,(1)の規定に基づく申請を公報に公告させることができる。

(3) ある者が,(2)の規定に基づく申請の公告日から所定の期間内に,当該申請に対する異議申立を所定の様式で長官に通知する場合は,長官は,その両当事者を聴聞した後,本件を決定する。

(4) (1)の規定に述べる許可がなされ,かつ,当該商標がその変更された形で(2)の規定に基づく公告が未だなされていない場合は,当該商標は,その変更された形で公報に公告される。

放棄,取消及び無効 第50条 登録商標の放棄

(1) 登録商標の所有者は,商標が登録されている商品又はサービスの一部又は全部について当該商標を放棄することができる。

(2) 次の事項に関し,規則により規定を定めることができる。

  • (a) 放棄の方法及びその効果,及び
  • (b) 当該登録商標における権利を有する他の者の利益を保護すること

第51条 登録の取消

(1) 商標の登録は,次の何れかの理由により取り消すことができる。

  • (a) 当該商標が,登録の公告日から5年の期間内に,その所有者又はその同意により,その登録商標が登録されている商品又はサービスについてアイルランドにおいて真正に使用されておらず,かつ,その不使用について正当な理由がないこと
  • (b) そのような使用が継続して5年間中断されており,かつ,その不使用について正当な理由がないこと
  • (c) 当該商標所有者の作為又は不作為の結果,当該商標が,その登録商標が登録されている商品又はサービスの商取引において普通名称となっていること
  • (d) 当該商標が,その登録されている商品又はサービスについて,その所有者又はその同意により使用された結果,特にそれらの商品又はサービスの性質,品質又は地理的原産地に関して公衆を誤解させる虞があること

(2) (1)の規定の適用上,商標の使用には,その商標が登録された際の形態における商標の識別性を変更しない要素における異なる形態による使用が含まれ,かつ,アイルランドにおける使用には,輸出のみを目的としてアイルランドにおいて商品又はその包装に当該商標を付す行為が含まれる。

(3) (1)(a)又は(b)の規定においていう使用が,5年の期間の満了後であって取消の申請がなされる前に開始又は再開される場合は,商標の登録は,(1)(a)又は(b)の規定に述べる理由によっては取り消されない。ただし,この適用上,5年の期間満了後であって取消申請がなされる前の3月以内における使用の開始又は再開は,その申請がなされる可能性のあることを当該商標所有者が知る前に,その開始又は再開のための準備が始まっていない限り,無視される。

(4) 取消の申請は何人もすることができるものとし,次の場合を除き,長官又は裁判所の何れに対してもすることができる。

  • (a) 当該商標に関する手続が裁判所に係属している場合は,申請は裁判所に対してしなければならない。及び
  • (b) その他の場合において,申請が長官に対してなされる場合は,長官は,その手続の何れの段階においても,その申請を裁判所に付託することができる。

(5) 商標が登録されている商品又はサービスの一部について取消の理由が存在する場合は,取消は,その商品又はサービスのみに関する。

(6) 商標の登録が何れかの範囲について取り消される場合は,当該商標所有者の権利は,その範囲について次の日から停止されるものとみなされる。

  • (a) 取消申請を行った日,又は
  • (b) 長官又は裁判所が取消の理由がより先の日に存在したものと認めた場合は,その日

(7) 商標の取消は,登録簿に記載されるものとし,かつ,長官は,商標の当該取消を公報に公告する。

第52条  登録に対する無効理由

(1) 商標の登録は,当該商標が第8条又は同条にいう何れかの規定に反して登録されたとことを理由として,無効の宣言をすることができる。ただし,商標が,同条(1)(b),(c)又は(d)の規定に反して登録された場合であって,その商標が使用された結果,その商標が登録の後に,商標が登録されている商品又はサービスについて識別性を有するに至ったときは,その商標は無効の宣言をされない。

(2) 商標の登録は,次の何れかの理由により,無効の宣言をされることがある。

  • (a) 第10条(1)から(3)までに規定する何れかの条件に該当する先の商標が存在すること,又は
  • (b) 第10条(4)(a)又は(b)に規定する条件に該当する先の権利が存在すること
    ただし,その先の商標の所有者又は先の権利の権利者が当該登録に同意している場合は,その限りでない。

(3) 無効の宣言の申請は,何人もすることができるものとし,かつ,次の場合を除き,長官又は裁判所の何れに対してもすることができる。

  • (a) 当該商標に関する手続が裁判所に係属している場合は,当該申請は裁判所に対してしなければならない。及び
  • (b) その他の場合において,申請が長官に対してなされる場合は,長官は,その手続の何れの段階においても,その申請を裁判所に付託することができる。

(4) 商標の登録が悪意によるものである場合は,長官は,当該登録の無効の宣言を裁判所に対して申請できる。

(5) 商標が登録されている商品又はサービスの一部のみについて無効の理由が存在する場合は,当該商標は,その商品又はサービスについてのみ無効の宣言を行うことができる。

(6) 商標の登録が何れかの範囲について無効の宣言をされた場合は,当該登録は,その範囲についてなされなかったものとみなされる。ただし,この無効は,過去に終了した取引に影響を及ぼすものではない。

第53条 黙認の効果

(1) 先の商標の所有者又はその他の先の権利の権利者が,アイルランドにおいて登録商標が使用されていることを知りながら,その使用を連続して5年間黙認していた場合は,当該先の商標又はその他の権利を根拠とする次に掲げる権利は,もはや消滅する。

  • (a) 後の商標の登録が無効であるという宣言を申請する権利,又は
  • (b) 後の商標が使用されている商品又はサービスについて当該後の商標の使用に対して異議申立を行う権利
    ただし,当該後の商標の登録が悪意で出願されたものである場合は,この限りではない。

(2) (1)の規定が適用される場合は,先の商標又は先の権利がもはや後の商標に対抗することはできないにも拘らず,後の商標の所有者は,先の商標の使用に対して又は,場合により,先の権利の利用に対して異議申立を行う権利を有さない。

団体標章 第54条 団体標章

(1) 団体標章とは,標章の権利者である団体の構成員の商品又はサービスを他の事業の商品又はサービスと識別する標章である。

(2) 本法の規定は,附則1の規定に従うことを条件として,団体標章に適用される。

証明標章  第55条 証明標章

(1) 証明標章とは,その証明標章が使われる商品又はサービスが,その原産地,素材,商品の製造方法又はサービスの提供方法,品質,精度又はその他の特徴について,当該標章所有者により証明されていることを表示する標章である。

(2) 本法の規定は,附則2の規定に従うことを条件として,証明標章に適用される。

第III部 共同体商標及び国際的事項

共同体商標

第56条 「共同体商標」及び「共同体商標規則」の意味

本法において,

  • (a) 「共同体商標」とは,共同体商標規則第1条(1)により規定される意味を有する。及び
  • (b) 「共同体商標規則」とは,共同体商標に関する1993年12月20日の理事会規則(EC)No.40/94により規定されている意味を有する。

第57条 共同体商標規則に関する規定を定める権限

(1) 大臣は,共同体商標規則の運用に関して適正と判断する規定を規則により定めることができる。

(2) 規定は,特に,次の事項に関して定めることができる。

  • (a) 特許庁を通して共同体商標の出願を行うこと
  • (b) 共同体商標が先であることを主張する商標の登録の後であることによる無効又は取消を決定するための手続
  • (c) 共同体商標又は共同体商標出願を本法に基づく登録出願に変更すること,及び
  • (d) 共同体商標規則に起因する諸手続について管轄権を有するアイルランドにおける裁判所の指定

(3) (1)の規定の普遍性を損なうことなく,共同体商標規則第89条の規定に従って備えられる職業代理人の名簿及びその名簿に掲載された者に関して,第84条から第90条までの規定に従い又は基づき商標代理人の登録及び登録商標の代理人について定める規定に相当する規定を本条に基づく規則により定めることができる。

(4) 第24条(侵害訴訟手続における理由のない脅迫に対する救済)及び第VI部(犯罪行為)の規定は,それらが登録商標について適用されるのと同様に,共同体商標についても適用される。

マドリッド議定書:国際登録 第58条 マドリッド議定書

本法において,

「マドリッド議定書」とは,1989年6月27日にマドリッドで採択された標章の国際登録に関するマドリッド協定に関する議定書をいう。

「国際事務局」とは当該議定書第2条(1)に規定される意味を有する。及び

「国際商標」とは,当該議定書に基づきアイルランドにおいて保護が与えられる商標を意味する。

第59条 マドリッド議定書を有効にする規定を定める権限

(1) 大臣は,アイルランドにおいてマドリッド議定書の規定に効力を与えるために適正と判断する規定を規則により定めることができる。

(2) 規定は特に,次の事項について定めることができる。

  • (a) 最初の取扱事務局として特許庁を通して国際登録出願を行うこと
  • (b) アイルランドにおける基礎出願又は基礎登録が拒絶され又は失効になった場合のその後の手続
  • (c) 特許庁が,アイルランドへの保護の地域拡張の請求を国際事務局から受領した場合のその後の手続
  • (d) アイルランドへの地域拡張の請求の効果
  • (e) 国際登録又は国際登録出願の国内登録出願への変更
  • (f) 国際事務局への情報の通知
  • (g) 国際登録出願,保護の拡長及び更新に関して定める手数料及び総額の支払

(3) 第24条(侵害手続訴訟における理由のない脅迫に対する救済),及び第VI部(犯罪行為)の規定は,それらが登録商標について適用されるのと同様に,国際商標についても適用される。

パリ条約:追加規定 第60条 パリ条約

(1) 本法において,

  • (a) 「パリ条約」とは,改正され又はアイルランドにおいて効力を有する間に同条約への付随書により追加された,産業財産の保護に関する1883年3月20日のパリ条約をいう 及び
  • (b) 「パリ条約加盟国」とは,アイルランド以外の,パリ条約に加盟している国をいう。

(2) 大臣は,命令により,本法の成立後のパリ条約の改正又は修正の結果適正と判断する本法及び本法に基づき定められた規則の改正を行うことができる。

第61条 周知商標の保護:第6条の2

(1) 本法においてパリ条約に基づき周知商標として保護が与えられている商標というときは,次の者の商標としてアイルランドで周知の標章をいう。

  • (a) パリ条約加盟国の国民,又は
  • (b) パリ条約加盟国内に居住している者,又はパリ条約加盟国内に現実かつ実際に工業的な又は商業的な営業所を有している者

上記の者がアイルランドにおいて事業を営んでいるか否か又は営業ののれんを有しているか否かは問わない。また,そのような標章の所有者というときはこれに応じて解釈される。

(2) 第53条の規定に従うことを条件として,パリ条約に基づき周知商標としての保護が与えられる商標の所有者は,その商標又はその商標の要部が同一又は類似であり,同一又は類似の商品又はサービスに関してアイルランドにおいて使用するものであり,その使用が混同を生ずる虞があるものについては,差止命令によりその使用を制限する権利を有する。

(3) (2)の規定は,本条の施行前に開始された商標の誠意な使用の継続に何ら影響を与えない。

第62条 パリ条約加盟国の国の記章等:第6条の3

(1) パリ条約加盟国の旗章からなる又は旗章を含む商標は,その国の所轄当局の許可を得なければ登録されない。ただし,申し立てられている方法による当該旗章の使用がそのような許可なしで認められているものと長官が認めるときは,この限りでない。

(2) パリ条約に基づき保護されるパリ条約加盟国の紋章又はその他の国の記章からなる又はこれらを含む商標は,その国の所轄当局の許可を得なければ登録されない。

(3) パリ条約加盟国によって採用された公の標識又は印章からなる又はこれらを含む監督及び保証を表示している商標は,当該標識又は印章がパリ条約に基づき保護されている場合は,その国の所轄当局の許可を得なければ,その監督及び保証を表示している商標についての商品又はサービスと同一又は類似の種類のものについて登録されない。

(4) 国旗及びその他の国の記章並びに公の標識又は印章に関する本条の規定は,紋章学上の見地から,当該旗章又はその他の記章,標識,若しくは印章を模倣する如何なるものに対しても等しく適用する。

(5) 本条の如何なる規定も,その国の記章又は公の標識若しくは印章の使用を許可された国民の出願についての商標の登録を妨げない。

(6) 本条の規定に基づき,商標の登録のためにパリ条約加盟国の所轄当局の許可が申請された場合は,当該所轄当局は差止命令により,その商標をアイルランドにおいて許可なく使用することを制限する権限を有する。

第63条 特定の国際機関の記章等:第6条の3

(1) 本条の規定は,1又は2以上のパリ条約加盟国が加盟国である国際政府機関の次のものに適用する。

  • (a) 紋章,旗章又はその他の記章,及び
  • (b) 略称及び名称

(2) パリ条約に基づき保護される記章,略称又は名称からなる又はこれらを含む商標は,関係国際機関の許可を得なければ登録されない。ただし,申し立てられている方法による当該記章,略称又は名称の使用が次のものであることが,長官にとって明らかであるときは,この限りでない。

  • (a) 当該機関とその商標との間に関係があると公衆に暗示するようなものでない使用,又は
  • (b) 当該使用者と当該機関との間に関係ががあると公衆に誤って信じさせるようなものでない使用

(3) 国際機関の記章に関する本条の規定は,紋章学上の見地から,当該記章を模倣する如何なるものに対しても等しく適用する。

(4) 本条に基づき,商標の登録のために国際機関の許可が申請された場合は,当該機関は差止命令により,その商標をアイルランドにおいて許可なく使用することを制限する権限を有する。

(5) 本条の如何なる規定も,1967年6月9日(パリ条約の関連規定がアイルランドに関して発効した日)より前に,当該商標の使用を誠実に開始していた者の権利に何ら影響を与えない。

第64条 パリ条約第6条の3に基づく通知

(1) 第62条の規定の適用上,パリ条約加盟国の国の記章(国旗を除く。)及び公の標識又は印章は,次の場合又は範囲に限り,パリ条約に基づいて保護されるものとみなす。

  • (a) 当該国がパリ条約第6条の3(3)の規定に従い,その記章,標識又は印章を保護するよう求める旨をアイルランドに対し通知した場合
  • (b) その通知が有効である場合,及び
  • (c) アイルランドがパリ条約第6条の3(4)の規定に従い,その通知に異議を申し立てていない又は当該異議が取り下げられている場合

(2) 第63条の規定の適用上,国際機関の記章,略称及び名称は,次の場合又は範囲に限り,パリ条約に基づき保護されるものとみなす。

  • (a) 当該機関がパリ条約第6条の3(3)の規定に従い,その記章,略称又は名称を保護するよう求める旨をアイルランドに対し通知した場合
  • (b) その通知が有効である場合,及び
  • (c) アイルランドがパリ条約第6条の3(4)の規定に従い,その通知に異議を申し立てていない又は当該異議が取り下げられている場合

(3) パリ条約第6条の3(3)の規定に基づく通知は,その通知の受領の2月経過後になされた登録出願に関してのみ効力を有する。

(4) 長官は,次の一覧を作成し,合理的な時間内において無料で公衆の閲覧に供する。それらは,パリ条約第6条の3(3)の規定に基づく通知によりパリ条約に基づき当分の間保護される。

  • (a) 国の記章及び公の標識又は印章,及び
  • (b) 国際機関の記章,略称及び名称

第65条 代理人又は代表者の行為:第6条の7

(1) パリ条約加盟国の当該商標の所有者の代理人又は代表者によって商標の登録出願がなされ,及び,その出願が当該商標所有者の承諾を得ずになされた場合は,以下の規定が適用される。

(2) 当該商標所有者がその出願に異議を申し立てた場合は,その登録は拒絶される。

(3) その出願が(前記の異議申立がなされずに)認められた場合は,当該商標所有者は,次の何れかの申請を行うことができる。

(a) その登録の無効の宣言を求める申請,又は

(b) 登録簿の訂正をして登録商標の所有者として当該商標所有者の名義を代えることを求める申請

(4) 商標所有者は,(登録商標に関し本法で与えられた権利にも拘らず)差止命令により,自己の許可を得ていない商標のアイルランドでの使用を制限する申請を裁判所にすることができる。

(5) (2),(3)及び(4)の規定は,当該代理人又は代表者が自己の行為につきそれが正当であることを明らかにした場合又はその範囲においては,適用されない。

(6) (3)(a)又は(b)の規定に基づく申請は,当該商標所有者がその登録について知った時から3年以内にしなければならない。また,(4)の規定に基づく差止命令は,当該商標所有者が継続して3年以上の間黙認していた使用については認められない。

第IV部 行政的規定

登録簿 第66条 登録簿

(1) 長官は,商標の登録簿を備える。また,本法において登録(特に,「登録商標」という表現における)というときは,他の事情がない限り,登録簿への登録をいう。

(2) 次のものは,本法に従い登録簿に記入される。

  • (a) 登録商標
  • (b) 登録商標に影響を与える登録されるべき取引の詳細,及び
  • (c) その他記載されるべき事項

(3) 登録簿は,所定の方式で保管されるものとし,また,特に次のことについて規定を設ける。

  • (a) 登録簿の公衆の閲覧,及び
  • (b) 登録簿への記入事項に関する認証又は無認証の謄本又は抄本の交付

第67条 登録簿の訂正又は修正

(1) 正当な利害を有する者は何人も,登録簿における誤記又は脱漏の訂正を申請することができる。
ただし,商標の登録の有効性に影響を与える事項に関しては,訂正の申請はできない。

(2) 訂正の申請は,次の場合を除き,長官又は裁判所の何れへも提出することができる。

  • (a) 当該商標に関する手続が裁判所に係属している場合は,当該申請は裁判所へなされなければならない。及び
  • (b) その他の場合において,当該申請が長官へなされる場合は,長官は手続中の如何なる段階においても,当該申請を裁判所に付託することができる。

(3) 長官又は裁判所が別に指定しない限り,登録簿の訂正の効力により,当該誤記又は脱漏は初めからなされなかったものとみなす。

(4) 長官は,登録簿への記入において自己がなした誤記を(自己の発意で)訂正できるが,それを行う前に,関係者と判断されるすべての者に対して当該訂正案の通知をしなければならない。

(5) 長官は,登録商標の所有者からの所定の様式による申請に基づき,次の行為を行うことができる。

  • (a) 登録簿に記録されている当該商標所有者の名称又は住所の変更を記載すること
  • (b) 商標が登録されている商品の明細を補正すること。ただし,当該補正は当該商標の現存の登録の権利範囲を超えないものする。又は
  • (c) 権利の部分放棄又は当該商標の現存の登録の権利範囲を超えない商標についての文書を記載すること

(6) 長官は,登録商標の使用権者からの所定の様式による申請に基づき,登録簿に記録されている当該使用権者の名称又は住所の変更を記載することができる。

(7) 長官は,効力が消滅したと判断する事項を登録簿から抹消することができる。

第68条 記載事項の新分類への適合

(1) 商標の登録のための商品又はサービスの分類を補正又は代替するのに長官が必要と判断 する事項を行う権限を長官に認める規定を規則により定めることができる。

(2) 特に,登録簿の現行の記載事項を新分類に適合させるための補正に関する規定を定めることができる。

(3) このような補正の権限は,登録により与えられる権利を拡張するために行使してはならない。ただし,この要件に従うことが不当な複雑性を生じ,当該拡張が何ら実質的なものではなく,かつ,何人の権利にも不利な影響を与えないものと長官が認める場合を除く。

(4) 規則により,長官に次の行為を行う権限を与えることができる。

  • (a) 登録商標の所有者に対して,所定の期間内に登録簿の訂正案を提出するよう求めること,及び
  • (b) 当該商標所有者がそのような手続を行わなかった場合は,当該商標の登録を更新することを取消又は拒絶すること

(5) (4)(a)の規定に基づく訂正案は,所定の方法により,公告するものとし,かつ,異議申立の対象とすることができる。

長官の権限と義務 第69条 様式の使用を求める権限

(1) 長官は,商標の登録又はその他本法に基づく長官に対する手続に関する目的を達成するために長官が指定する様式の使用を求めることができる。

(2) 当該様式及びその使用に関する長官の指令は,公報に公表する。

第70条 出願及び登録商標に関する情報

(1) 商標登録出願の公告後,長官は,申請に基づき,申請書に記載されている通りに当該情報を供給し,また,出願又はその結果としての登録商標に関して申請書に記載されている通りの書類について閲覧することを許可する。

(2) (1)の規定の適用上の申請は,所定の様式で行い,かつ,(必要な場合は)適正な手数料を支払わなければならない。

(3) 商標の登録出願の公告前に,当該出願を構成する又は出願に関する書類又は情報は,次の場合を除き,長官により公表されることはなく,又は,長官から何人にも通知されない。

  • (a) 所定の場合における所定の範囲内の場合,又は
  • (b) 出願人の同意がある場合
  • ただし,本条の次の規定に従う。

(4) ある者が次の通知を受けている場合は,その者は,当該出願が公告されていないにも拘らず,(1)の規定に基づく申請を行うことができるものとし,また,同項の規定がそれに相応して適用される。

  • (a) 商標登録出願がなされていること,及び
  • (b) その出願が権利付与された場合は,その出願人が,当該出願の公告後の行為について,その者に対し訴訟手続をとろうとしていること

第71条 長官による裁量権の行使

本法により又は本法に基づき,長官に対して裁量権が与えられる場合は,その裁量権は,商標の出願人,又はその商標所有者,若しくは長官に対して手続をする当事者に対して,当該裁量権の行使に関して当該出願人,商標所有者又は当事者の聴聞の機会なしに不利益になるように行使してはならない。

第72条 費用及び費用のための担保

(1) 長官は,本法に基づき長官に対してなされる如何なる手続においても,当事者に(必要な場合は)長官が合理的と認める費用の支払を命じ,当該費用をどのような方法で何れの当事者が支払うべきかを指示することができる。そのような如何なる命令も,裁判所の許可により,裁判所の判決又は命令と同様に効力を発し,同様の効果を有することができる。

(2) 本法に基づき,アイルランド又はその他の所定の国に居住していないか又は事業を営んでいない当事者が,長官に対して手続をする当事者である場合は,長官は,又は不服申立の場合の裁判所は,その当事者に対して当該手続に対する費用のための担保を提供するよう求めることができる。

(3) (2)の規定に基づく要求が満足されない場合は,長官又は裁判所は,当該手続が放棄されたものとして取り扱うことができる。

第73条 長官に提出する証拠

1992年特許法第92条(1)(同法又はその他の制定法に基づく長官に対する手続の証拠に関するもの)の規定において,「長官に対する」の言葉の後に,「(1996年商標法に基づく手続を含む)」という言葉を添える。

第74条 公務に関する免責

(1) 長官は,本法に基づく又はアイルランドが当事国である条約,協定,取決又は約束に基づく商標の登録の有効性を保証する義務を負わない。

(2) 長官は,本法又は条約,協定,取決又は約束により要求され又は認容される審査,又は報告書若しくは当該審査の結果としての手続を理由として又はそれらに関して何ら責任を負わない。

(3) 本条の規定により,長官が責任を負わないとされる事項について,長官の職員に対して訴訟を提起することはできない。

第75条 長官の年次報告書の内容

1992年特許法第103条の規定に従って準備された長官の年次報告に含まれる本法の規定の施行に関する報告において,マドリッド議定書に関する長官の職務の履行に関する報告を含める。

法的手続及び上訴
第76条 有効性の一応の証拠となる登録

登録商標に関するすべての手続(登録簿の訂正のための手続を含む。)において,ある者の商標所有者としての登録は,当初の登録及び事後の譲渡又はその他の移転の有効性の一応の証拠となる。

第77条 争点とされる登録の有効性の証明

(1) 裁判所に対する訴訟手続において,商標の登録の有効性が争われ,当該商標が有効に登録されていると裁判所が判断した場合は,その裁判所はその有効性について証明書を与えることができる。

(2) 裁判所がそのような証明書を与え事後の手続において,次の場合は,当該商標所有者は,裁判所が別に指示しない限り,自己の負担する費用を事務弁護士と依頼人との間の費用のみとすることができる。

  • (a) 当該登録の有効性が再度争われる場合,かつ
  • (b) 当該商標所有者が自己に有利な最終命令又は判決を得た場合

(3) (2)の規定は,訴訟手続における上訴の費用までには適用しない。

第78条 法廷手続における長官の出廷

(1) 次の事項に関連した裁判所に対する訴訟手続(上訴を含む。)において,長官は,裁判所に出廷し,聴聞を受ける権利を有し,裁判所から指示がある場合は,出廷する。

  • (a) 商標の登録の取消,又は
  • (b) 商標の登録の無効の宣言,又は
  • (c) 登録簿の訂正,又は
  • (d) 求められる救済が登録簿に影響を与える可能性があるその他の事項

(2) 裁判所が別に指示しない限り,裁判所に対する訴訟手続において,長官は,出廷に代えて,次の事項を記載した陳述書に自己の署名を付して裁判所に提出することができる。

  • (a) 争点となっている事項に関し長官に対しなされた手続
  • (b) 当該事項に影響を与える長官が下した決定の理由
  • (c) 同様な事例における特許庁の運用,又は
  • (d) 当該事項に関連し,かつ,長官自身の知見の範囲内で適切と判断する事項

また,当該陳述書は,当該訴訟手続における証拠の一部を構成するものとみなされる。

第79条 長官による上訴

(1) 裁判所の規則による別段の規定がない限り,裁判所の決定に対する上訴は,本法に基づく長官の決定の日から3月の期間内に提出する。

(2) 本条の規定に基づく上訴については,次のとおりとする。

  • (a) 長官は,裁判所に出廷し,聴聞を受ける権利を有し,裁判所から指示がある場合は,出廷する。及び
  • (b) 裁判所は,当該上訴が提起された手続において長官が行使できる権限を同様に行使することができる。

(3) 裁判所の許可により,本条の規定に基づく裁判所の決定に対する上訴は,法律の特定に より最高裁判所に提起される。

第80条 長官に対する費用の請求権のないこと又は無報酬

本法に基づき裁判所に対してなされる訴訟手続において,長官は,費用の支払を受け又は費用の支払を命令されることはない。

規則及び手数料
第81条 規則を作成する大臣の権利

(1) 大臣は,次の目的で規則を定めることができる。

  • (a) ある事項に関して規則の制定を認めている本法の規定の適用上,及び
  • (b) 本法の何れかの規定により定めるべきことが認められている又は求められている事項について規定するため
    また,本法に基づく運用及び手続を全般的に規定するために,規則を定めることができる。

(2) 特に次の事項に関する規定が,(1)の規定の一般性を損なうことなく,本条に基づく規則によって定めることができる。

(a) 出願及びその他の書類の提出方法

(b) 書類の翻訳文及びその提出並びに翻訳文の認証を求め,かつ,規定すること

(c) 書類の提供

(d) 手続の瑕疵の訂正を認めること,及び

(e) 本法に基づく手続に関しなされることが求められる事項の期限を定めること,及び,当該期限の延長(期限が既に満了しているか否かに拘らず)について定めること

第82条 手数料

(1) 本法に基づく出願及び登録並びにその他の事項に関しては,大蔵大臣の承認を得て大臣が暫時規定することができる手数料を,長官が請求し,支払われる。

(2) その規定は規則によって定められるものとし,2件又はそれ以上の事項について1回の支払で済ませることができる規定を規則により定めることができる。

(3) 本条の規定に基づき長官が請求するすべての手数料は,大蔵大臣の同意を得て大臣が決定する方法で徴収し計上する。

(4) 1879年の公共手数料法は,本条の規定に基づいて支払われる手数料については適用されない。

第V部 商標代理人

第83条 受権した代理人が手続できること

(1) 第90条の規定に基づき定められた規則に従うことを条件として,本法に基づき,ある手続行為が,商標の登録又は登録商標についての手続に関連してある者によって又はその者に対してなされる場合は,その手続行為は,次に該当する代理人によって,又はその代理人に対して行うことができる。

  • (a) 口頭又は書面でその者から受権した代理人,及び
  • (b) 登録商標代理人である代理人

(2) 登録商標代理人として手続行為を行うことを(1)の規定に基づいて他の者から適正に受権した者は,(当該代理人と当該他の者との間の取決の規定にも拘らず)長官と当該他の者に通知することにより,当該他の者のために登録商標代理人として手続行為を行うことを取り止めることができる。

第84条 商標代理人の登録簿

本条の施行の直前に商標代理人の登録簿として知られた登録簿は,事後もそのように維持され,かつ,長官により管理される。また,この部において,次のとおり定義される。

  • (a) 「登録簿」とは,商標代理人の登録簿を意味する。
  • (b) 「登録商標代理人」とは,当該登録簿にその名称を記載されている者を意味する。
  • (c) 登録商標代理人となる者又は登録商標代理人である者に関して,「登録」とは,当該登録簿にその者の名称を記載することを意味する。

第85条 登録された代理人のみが実行できる業務等

(1) 本条の規定に従うことを条件として,登録商標代理人でない個人は,次の業務を行ってはならない。

  • (a) 「登録商標代理人」の語を含む名称又はその他の表示の下で(パートナーシップとしてではなく)業務を行うこと,又は
  • (b) ほかに業務の過程で,登録商標代理人として表示又は振舞い,若しくは,登録商標代理人として表示されること又は振舞わせることを許すこと

(2) パートナーシップは,次のことをしてはならない。

  • (a) 「登録商標代理人」の語を含む名称又はその他の表示の下で業務を行うこと,又は
  • (b) ほかに業務の過程で,登録商標代理人の事業体として表示又は振舞い,若しくは,登録商標代理人の事業体として表示されること又は振舞わせることを許すこと
    ただし,全員のパートナーが登録商標代理人である場合又は当該パートナーシップが本条の適用上規定している条件を満たしている場合は,この限りでない。

(3) 法人は次のことをしてはならない。

  • (a) 「登録商標代理人」の語を含む名称又はその他の表示の下で(パートナーシップとしてではなく)業務を行うこと,又は
  • (b) ほかに業務の過程で,登録商標代理人として表示又は振舞い,若しくは,登録商標代理人として表示されること又は振舞わせることを許すこと
    ただし,当該法人の全員の取締役及び取締役でなくても管理職が登録商標代理人である場合又は当該法人が本条の適用上規定している条件を満たしている場合は,この限りでない。

(4) アイルランドが当事国である国際協約のアイルランドを代表して政府が達成するという観点で,大臣は,登録商標代理人ではないが当該国際条約の当事国である国の市民である者に対して,その者の申請がある場合は,大臣が適正と判断する条件にも従うことを条件として,商標に関し,他の者の代理として手続行為することを認める。

(5) 死亡した登録商標代理人の法定人格代表者は,当該代理人の死亡から3年を超えない期間の間,又は,当該人格代表者が次の場合は,(必要な場合)裁判所が許可する更なる期間,当該死亡した登録商標代理人の業務又は事務を行うことができる。

  • (a) 当該業務又は事務を行うことが裁判所によって許可された場合,又は
  • (b) 当該業務又は事務をその人格代表者を代理して行うことを許可された者を雇用する場合

(6) 本条の規定に違反する者は,初犯の場合は,500ポンドを超えない罰金の,また,第2犯以後の犯罪の場合は1,000ポンドの罰金の陪審によらない有罪判決を受ける。更に,1851年の治安判事小法廷(アイルランド)法第10条(4)の規定に拘らず,本条の規定に基づく犯罪に対する訴訟手続は,その犯罪が発生した日から12月以内のいつでも開始することができる。

(7) 本法においては,商標に関して若しくは商標又はその登録についての手続に関して事務弁護士又は法廷弁護士がこれまでに行ってきた部分の本法に基づく手続を,事務弁護士又は法廷弁護士が行うことを禁止するものと解釈することはない。

(8) 登録商標代理人は,1954年の事務弁護士法第58条の規定(法的資格のない者が報酬を得てある法律文書を用意することを禁止する。)に基づき,当該代理人が次の書類の用意を行ったことのみの理由により,有罪になることはない。

  • (a) 商標出願又は商標における所有権の譲渡証,又は
  • (b) 本法に基づく長官又は裁判所に対する手続に用いるための(証明書ではない)書類

(9) 登録商標代理人に関して「共同体商標弁護士」の言葉を用いて弁護士として行為する資格のない者に関して,一定の表現の使用を制限する立法に基づく犯罪は犯されない。

第86条 商標代理人として登録され得る資格

(1) 次に該当する者は,登録商標代理人となる資格を有するものとし,また,パートナーシップは,パートナー全員が本条の規定に従い登録される場合は,その資格を有する。また,所定の様式及び方法による申請及び所定の手数料の支払により,その資格を有する者又はパートナーシップは登録される。

(a) アイルランド又は所定の他の国に居住する者

(b) アイルランドに業務の拠点を有する者

(c) 所定の教育的かつ職業的資格を有する者,及び

(d) 所定の条件を満足する者

(2) 名称が,本法の施行の直前に1963年法に基づく登録簿に記載されていた者及びパートナーシップは,引き続き登録商標代理人である。

第87条 登録簿からの削除

長官は,登録商標代理人である者の申請により,登録簿からその者の名称を削除することができる。

第88条 商標代理人の登録の停止及び抹消

(1) 長官の見解において,登録商標代理人である者が登録の資格を失う場合,又は登録商標代理人の役割においてその者にとって不名誉である行為として有罪となった場合は,長官は,その者に聴聞の機会を与えた後,その者の名称を登録簿から抹消すべきであることを決定することができるものとし,若しくは,特定の期間の間,その者の登録を無効にするべきことを決定することができる。

(2) (1)の規定に基づく決定をするにあたり,長官は,その決定,その日付及びその理由を記載した書面での通知を,その決定が関係する者(本条においては「当該関係者」という。)に対し,登録簿に記載されているその関係者の住所に直ちに郵送する。

(3) 長官に所定の方法で通知を行うにあたり,当該関係者は,当該決定の日から算定して21日以内に,その決定の取消を裁判所に対して申請することができる。また,その者がそのような申請を行った場合は,裁判所は,その申請についての聴聞を行って,次の何れかの指示を行うことができる。

  • (a) その決定を取り消すこと,又は
  • (b) 当該関係者に関して(1)の規定に基づく決定を行うことが長官にとって適切であった旨を宣言すること及び(裁判所が適正と判断する場合)次の何れかの指示を行うこと
  • (i) 登録簿から当該関係者の名称を抹消するよう長官に指示すること,又は
  • (ii) 所定の期間(裁判所の決定後7日以内から算定する。)の間,その当該関係者の登録を無効にする指示を行うこと

(4) (3)の規定に基づく申請の手続において当該関係者が不正に遅滞していることを,長官が裁判所に認めさせる場合はいつでも,裁判所は,その反対の公正な理由を見出せない限り,当該関係者に関して(1)の規定に基づく決定を行うことが長官にとって適切であった旨を宣言するものとし,かつ,(裁判所が適正と判断する場合)次の何れかの指示を行う。

  • (a) 登録簿から当該関係者の名称を抹消するよう長官に指示すること,又は
  • (b) 所定の期間(裁判所の決定後7日以内から算定する。)の間,その当該関係者の登録を無効にする指示を行うこと

(5) 当該関係者が当該決定の日から算定して21日以内に,その決定の取消を裁判所に対して申請しない場合は,長官は,その決定の確認申請を一方的に行うことができる。また,長官がそのように申請する場合は,裁判所は,その反対の公正な理由を見出せない限り,申請について聴聞を行い,これに応じて宣言し,かつ,(裁判所が適正と判断する場合)次の何れかの指示を行う。

  • (a) 登録簿から当該関係者の名称を抹消するよう長官に指示すること,又は
  • (b) 所定の期間(裁判所の決定後7日以内から算定する。)の間,その当該関係者の登録を無効にする指示を行うこと

(6) (3)又は(5)の規定に基づく申請についての裁判所の決定は最終であるが,ただし,裁判所又は最高裁判所の許可を得て,その決定に対する長官又は当該関係者による上訴は,法律の特定により最高裁判所に提起される。

第89条 停止又は抹消の通知:その後の回復

(1) ある者の名称を登録簿から抹消するに当たり,長官は,その抹消の書面による通知をその者に対して登録簿に記載されているその者の住所へ,直ちに支払済み郵便により郵送する。

(2) 所定期間,ある者の登録を無効にするという決定が第88条の規定に基づきなされる場合は,長官は,その所定期間が始まる前に,その決定の書面による通知をその者に対して登録簿に記載されているその者の住所へ,支払済み郵便により郵送する。

(3) 登録簿から抹消された者の名称は,他の手段でなく長官の指示により,いつでも登録簿への回復することができる。また,名称が登録簿に回復される場合は,長官は,自己が適正と判断する回復の条件(その者が初めて登録されていた場合は,登録のために当人が支払う手数料を超えない額の手数料の支払を含む。)を付すことができる。

(4) ある者の登録が第88条の規定に基づき特定の期間の間無効となった場合において,長官は,自己が適正と判断するときは,その者が長官に対して行う申請により,当該停止を終了させることができる。

第90条 商標代理人に関する規則

(1) 大臣は,登録簿の管理のための規則を定めることができるものとし,かつ,その規則により,本条又は第85条の規定に関する事項又は事件を規定することができ,また,特に登録の適格性のための教育的及び専門的資格並びに条件(国籍と市民権に関する条件を含む。)と,商標に関して規則に定められる役務を行うために登録される者が請求することのできる最高限度額の手数料とを,定めることができる。

(2) (1)の規定に基づく規則は,第85条の規定の要件を満たさない者を本法に基づく業務についての代理人として認めることを拒絶する権限を長官に対して認めることができる。

(3) 本条の規定に基づく規則は,取締役,管理職又はパートナー(それがある場合)が代理人として認めることを長官が拒絶できる個人である会社又は事業体を本法に基づく業務についての代理人として認めることを拒絶する権限を長官に対して認めることができる。

第91条 秘匿特権付通信

(1) 本条の規定は,商標の保護に関連する事項についての又は詐称通用を含む事項についての情報に対して適用される。

(2) 本条の規定が適用される次の通信は,ある者とその者の事務弁護士との間の通信又は,場合により,ある者がその者の事務弁護士に説明する目的で求めている情報を入手するための又はその情報の要求に関する通信と同様に,アイルランドでの法的手続における開示について秘匿権がある。

  • (a) ある者とその者の登録代理人との間の通信,又は
  • (b) ある者がその者の登録代理人に説明する目的で求めている情報を入手するための又はその情報の要求に関する通信

(3) (2)の規定において「登録代理人」とは,次に該当する者をいう。

(a) 登録商標代理人

(b) 自らを登録商標代理人の事業体として表示する権限を有するパートナーシップ,又は

(c) 自らを登録商標代理人として表示する権限を有する法人

第VI部 犯罪

第92条 商品に関する商標の不正な応用又は使用

(1) (3)の規定に従うことを条件として,ある者が行う次の行為は,犯罪行為となる。

  • (a) 登録商標と同一又は類似の標章を使用又は使用しようとする商品又は素材にラベル付け,包装又は広告の商品として応用すること
  • (b) 次のものを,販売,賃借,販売又は賃借のための申出又は陳列,若しくは配布すること
  • (i) 当該標章を付している商品,又は
  • (ii) ラベル付け,包装又は広告の商品のために使用又は使用しようとしている当該標章を付している素材
  • (c) 業務の過程で,ラベル付け,包装又は広告の商品のために当該標章を付している素材を使用すること,又は
  • (d) 業務の過程で,(a)から(c)までに記載の事項の何れかを行うために,当該標章を付している商品又は素材を所持すること
    この場合は,その者が,問題の商品に関する標章を使用する権限がないか,又はその権限のある者から承諾されていない場合である。

(2) (3)の規定に従うことを条件として,ある者が業務の過程で,(1)(a),(b)又は(c)に記載の事項の何れかを他の者が行えるよう又は行う手助けをするために,その他の者が問題の商品に関して当該標章を使用する権限がないこと又はその権限のある者から承諾されていないことを知りながら又はそのことを信じるに足る理由を有しながら,登録商標と同一又は類似の標章を付した商品又は素材を所持することは,犯罪となる。

(3) (1)又は(2)の規定に違反する者は,その者の行為が自己又は他の者のために利益を得ようとして又は他の者に損失を与えるつもりである場合にのみ,その犯罪行為により有罪となるものとし,また,その者が問題の商品に関して当該商標を使用する権限があったことを信じるに足る理由が存在していたことを証明することは,(1)の規定に基づく犯罪について告訴されている者にとって抗弁となる。

(4) 本条の規定に基づく犯罪を犯す者は,次の義務を負う。

  • (a) 陪審によらない有罪判決により,6月を超えない拘禁又は1,000ポンドを超えない罰金,若しくはその両方
  • (b) 正式起訴による有罪判決により,5年を超えない拘禁又は100,000ポンドを超えない罰金,若しくはその両方

第93条 登録簿の虚偽記載等

(1) ある者が,登録簿において,その者が虚偽であることを知り又は信じるに足る理由を有している記載をし又は記載をさせることは,犯罪である。

(2) ある者が,それが虚偽であることを知りながら又は信じるに足る理由を有していながら,次の行為を行うことは,犯罪である。

  • (a) 登録簿の記載の謄本であると偽ったものを作り又は作らせること,又は
  • (b) そのようなものを証拠として提出し又は提出させること

(3) 本条の規定に基づく犯罪を犯した者は,次の義務を負う。

  • (a) 陪審によらない有罪判決により,6月を超えない拘禁又は1,000ポンドを超えない罰金,若しくはその両方
  • (b) 正式起訴による有罪判決により,2年を超えない拘禁又は200,000ポンドを超えない罰金,若しくはその両方

第94条 商標を登録されていると偽って表示すること

(1) ある者がその表示が虚偽であることを知りながら又は信じるに足る理由を有しながら,次の行為の何れかを行うことは,犯罪である。

  • (a) 標章が登録商標である旨偽って表示をすること,又は
  • (b) 商標が登録されている商品又はサービスに関して虚偽の表示をすること

(2) 本条の規定の適用上,アイルランドにおいて商標に関し次の何れかの用語を使用することは,本法に基づく登録に関する表示をするものとみなされる。ただし,それがアイルランド以外の場所における登録を意味し,かつ,当該商標が実際に当該商品又はサービスについて登録されていることが明らかな場合は,その限りでない。

  • (a) 「登録済」の語,又は
  • (b) その他(明示的に又は黙示的に)「登録」を意味する語又は記号

(3) 本条の規定に基づく犯罪について有罪とされた者は,陪審によらない有罪判決により,1,000ポンドを超えない罰金及び,継続して犯罪を犯している場合は,その犯罪が継続している1日当たり100ポンドを超えない更なる罰金が課せられる。

第95条 パートナーシップ及び法人による犯罪

(1) (3)の規定に基づくパートナーの義務を侵すことなく,パートナーシップによって犯されたと申し立てられる本法に基づく犯罪の訴訟手続は,その事業体の名称の下に当該パートナーシップに対して提起されるものであり,そのパートナーの名称の下には提起されない。

(2) (1)の規定に従ってなされる訴訟手続における当該有罪判決によりパートナーシップに対して科される罰金は,当該パートナーシップの資産から支払われる。

(3) パートナーシップが本法に基づく犯罪について有罪である場合は,その犯罪行為を知らなかったこと又は当該犯罪行為を防ごうとしていたことを証明できる者以外のすべてのパートナーも,その犯罪について有罪であるものとし,したがって審理にかけられて罰せられる。

(4) 法人によってなされる本法に基づく犯罪が,その犯罪の発生時に,当該法人の取締役,管理職,秘書役又はその他の同様の幹部である者若しくはそのような権能をもって行為していた者の暗黙の了解で又は怠慢の結果なされたものであることが証明される場合は,その者(及び法人)は犯罪について有罪であるものとし,かつ,法人によってなされたものとして審理され罰せられる。

第VII部 雑則及び一般規定

第96条 巡回裁判所の管轄権

本法により裁判所に与えられる権限を害することなく,第20条又は第23条の規定に基づく命令のための訴訟手続は,侵害されている商品,素材又は物品が存在する郡又はそれらの商品,素材又は物品を所有,保管又は管理している者が所在する郡の巡回裁判所に提起することができる。

第97条 アイルランドの記章の無許可の使用

(1) 何人も,大臣の許可を得ないで,その者がアイルランドの記章を使用することを正当に承認されたものと信じさせる虞があるような方法で,パリ条約第6条の3の規定に基づいて規定されているアイルランドの記章又はアイルランドの記章に酷似した記章を何れの業務に関しても使用してはならない。

(2) (1)の規定に違反する者は,犯罪について有罪であるものとし,陪審によらない有罪判決により,1,000ポンドを超えない罰金及び,継続して犯罪を犯している場合は,その犯罪が継続している1日当たり100ポンドを超えない更なる罰金が課せられる。

(3) 大臣は,(1)の規定に違反する者を,その違反行為を禁止する差止命令を裁判所に申請できる。

(4) 本条における何れの規定も,当該記章を含む登録商標の所有者のその商標を使用するための如何なる権利に対しても影響を及ぼさない。

(5) (1)の規定に基づき禁止されている行為を抑制する手続において又は(2)の規定に基づく執行において,その記章が国の記章である旨の趣旨である長官の署名がなされている証明書は,そうでないことが証明されない限り,その内容についての十分な証拠となる。

第98条 アイルランド原産を示す商標の不正使用

大臣は,アイルランドにおいて栽培,生産又は製造されていない商品に関して,当該商品に使用又は応用されている商標,標章又は表示で,アイルランドで栽培,生産又は製造されたことを示す又は示唆する商標又はその他の標章若しくは表示の登録,使用又は利用を禁止したり,制限したり,又は刑罰を科すことに対して大臣が適正と認めるような法的手段を,訴訟又は告発若しくは他の法的手段の何れかにより,アイルランド国外の場所で取ることができる。

第99条 商標の使用の立証責任

本法に基づく民事訴訟手続において,登録商標の何人かによる使用に関して問題が発生した場合は,その使用に関する立証責任は当該商標所有者が負う。

第100条 経過規定

附則3の規定は,1963年法に基づき登録された商標の取扱及び本法の施行の時に当該従前の法律に基づき係属している登録出願及びその他の手続を含む経過的事項について効力を有する。

第101条 領海及び大陸棚

疑義の回避のために,本法は,次の水域すなわち,アイルランドの領海を構成する海上の水域,アイルランドの内海又は陸地にある水域が1959年の海事法第5条の規定により拡張されている全領海の水域,及び1968年の大陸棚法第1条の規定の意味する範囲内における現在の指定区域であるすべての領海の水域に適用される旨を,ここに宣言するものである。

第102条 既存法の改正及び適用

(1) 本法の施行の前に承認された立法において,また,本法の施行の前に立法化された規定において,1963年法の意味する範囲内で,商標又は登録商標というときは,他に要求事項がない限り,本法の施行の後においては,本法の意味する範囲内での商標又は登録商標をいうものと解釈する。

(2) 1978年の消費者情報法第24条の規定において,次のとおりとする。

(a) 「1963年商標法」の語については,同条(c)の規定における場合を除き,この語をすべて「1996年商標法」の語に置き換える。及び

(b) 同条(c)の「商標の登録使用者として1963年商標法第36条の規定に基づき登録された者」の語は,「登録商標の場合は,それを使用することを許諾された者」の語に置き換える。

附則1 団体標章

第1号 総則

本法の規定は,本附則の以下の規定に従うことを条件として,団体標章について適用する。

第2号 団体標章を構成することができる標識

団体標章に関し,第6条(1)の規定においてある事業の商品又はサービスを他の事業のそれらのものから識別するというときは,その標章所有者である団体の構成員の商品又はサービスを他の事業のそれらのものから識別することをいうものと解する。

第3号 原産地表示

(1) 第8条(1)(c)の規定に拘らず,商品又はサービスの原産地を指定するために取引上役立つことができる標識又は表示からなる団体標章は,登録することができる。

(2) ただし,(1)の規定にいう標章の所有者は,工業上又は商業上の事項(特に,地理的名称を使用する権限を有する者の場合)における公正な慣習に従った当該標識又は表示の使用を禁止する権限を有さない。

第4号 特徴又は意味について誤認を生じさせない標章

(1) 団体標章は,その標章の特徴又は意味について公衆が誤認を生じる虞がある場合,特に,団体標章以外の何らかのものと誤認する虞がある場合は,登録されない。

(2) これに応じて,長官は,団体標章としての登録のためになされる出願についての標章には,それが団体標章である旨の何らかの表示を含ませるよう要求することができるものとし,また,第44条(3)の規定に拘らず,出願をそのような要件を満たすように補正することができる。

第5号 団体標章の使用を管理する規則

(1) 団体標章の登録出願人は,当該標章の使用を管理する規則を長官に提出しなければならない。

(2) その規則は,当該標章の使用を許可された者,その団体の構成員の条件及び,規定がある場合は,当該標章の悪用に対する制裁を含む当該標章の使用条件を定めなければならない。

(3) 規則が必要である更なる事項に対し,規則によって規定を定めることができる。

第6号 長官による規則の承認

(1) 団体標章は,当該標章の使用を管理する規則が次のことを満たさない限り,登録されない。

  • (a) 第5号(2)の規定及び規則により課される更なる要件を満たしていること,及び
  • (b) 公の政策又は一般に容認された道徳原理に反さないこと

(2) 団体標章の登録出願日の後であって所定の期間の満了前に,出願人は,当該規則を長官に提出し,かつ,所定の手数料を支払わなければならない。また,出願人がそのようにしなかった場合は,当該出願は取り下げられたものとみなされる。

第7号

(1) 登録のための(第6号に規定されたもの以外の)要件が満たされていることが長官にとって明らかである場合は,長官は,第6号(1)に規定する事項を考慮するものとし,また,次の処置をとることができる。

(a) 出願を受理すること

(b) (規則の修正又はその他の事項を含む)制約に従うことを条件として,その出願を受理すること,又は

(c) その受理を拒絶すること

(2) 長官が特定の制約に従うことを条件として出願を受理し,かつ,それらの制約が所定の期間内に満たされる場合は,長官は,第43条の規定に従い公報に公告する手続を取る。

(3) 長官が特定の制約に従うことを条件として出願を受理し,それらの制約が所定の期間内に満たされない場合は,当該出願は取り下げられたものとみなされる。

第8号

(1) 当該標章の使用を管理する規則は,公衆の閲覧に供されるものとし,かつ,第6号(1)の規定に定める事項に関して,異議申立の通知をし意見を提出することができる。

(2) 本号の規定は,出願に対し異議申立をし又は意見を提出することができる他のあらゆる理由に付加される。

第9号 閲覧に供すべき規則

登録団体標章の使用を管理する規則は,登録簿と同じ方法で,公衆の閲覧に供される。

第10号 規則の修正

登録団体標章の使用を管理する規則が修正される場合は,修正されたその規則は,提出され,長官によって承認されない限り及びそれまでは,効力を生じない。

第11号 侵害訴訟手続:許可を受けた使用者の権利

(1) 許可を受けた使用者と標章所有者との間の取決にも拘らず,本号の規定は,登録団体標章の権利侵害に関して効力を有する。

(2) 許可を受けた使用者は,自己の利益に影響を及ぼすすべての事項に関して,侵害訴訟手続をとるよう標章所有者に要求する権限を有する。

(3) 標章所有者が,そのようにするよう要求されて後2月以内に(2)に従う侵害訴訟手続を提起することを拒否したり,又は手続を取らない場合は,許可を受けた当該使用者は,その標章所有者に代わって,自己の名義で訴訟手続を提起することができる。

(4) 侵害訴訟手続が(3)の規定により提起される場合は,次の通り手続が行われる。

  • (a) 許可を受けた当該使用者は,標章所有者が原告として参加するか又は被告として加えられない限り,裁判所の許可を得ないで当該訴訟手続を進めることができない。及び
  • (b) 被告として加えられる標章所有者は,自己が当該訴訟手続に参加しない限り,その訴訟における如何なる費用も負担する責任を負わない。

(5) (4)の規定において,許可を受けた使用者のみによる申請に基づく仮救済を認めることに影響を及ぼす規定はない。

(6) 登録団体標章の所有者により提起された侵害訴訟手続の過程において,許可を受けた使用者が被った又は被る虞のあるすべての損害が,裁判所によって斟酌される。また,裁判所は,原告がその使用者のために金銭的救済の利益を受け取る範囲について,適正と判断する指示を与えることができる。

第12号 登録の取消理由

第51条に規定された取消理由とは別に,団体標章の登録は,次の理由により,取り消すことができる。

  • (a) 当該標章所有者が使用している当該標章の態様が,第4号(1)の規定にいう態様において公衆を誤認させる虞があるものとなっていること,又は
  • (b) 当該標章所有者が,当該標章の使用を管理する規則を遵守せず又は遵守を保証しなくなったこと,又は
  • (c) 当該規則が修正された結果,その規則が,次の状態になったこと
  • (i) 第5号(2)の規定及び規定により課される追加の要件を満たさなくなったこと,又は
  • (ii) 公の政策又は容認された道徳原理に反するものとなったこと

第13号 登録の無効理由

第52条に規定された無効理由とは別に,団体標章の登録は,当該標章が第4号(1)又は第6号(1)の規定に違反して登録されたことを理由として,無効の宣言をすることができる。

附則2 証明標章

第1号 総則

本法の規定は,本附則の以下の規定に従うことを条件として,証明標章について適用する。

第2号 証明標章を構成することができる標識

証明標章に関し,第6条(1)の規定においてある事業の商品又はサービスを他の事業のそれらのものから識別するというときは,証明される商品又はサービスを証明されないそれらのものから識別することをいうものと解する。

第3号 原産地表示

第8条(1)(c)の規定に拘らず,商品又はサービスの原産地を指定するために取引上役立つことができる標識又は表示からなる証明標章は,登録することができる。
ただし,当該標章の所有者は,工業上又は商業上の事項における,特に,地理的名称を使用する権限を有する者による,公正な慣習に従った当該標識又は表示の使用を制限する権限を有さない。

第4号 標章所有者の事業の性質

証明標章は,その所有者が証明されている種類の商品又はサービスの供給を含む事業を行っている場合は,登録されない。

第5号 特徴又は意味について誤認を生じさせない標章

(1) 証明標章は,その標章の特徴又は意味について公衆が誤認を生じる虞がある場合,特に,証明標章以外の何らかのものと誤認する虞がある場合は,登録されない。

(2) これに応じて,長官は,証明標章としての登録のためになされる出願についての標章には,それが証明標章である旨の何らかの表示を含ませるよう要求することができるものとし,また,第44条(3)の規定に拘らず,出願をそのような要件を満たすように補正することができる。

第6号 証明標章の使用を管理する規則

(1) 証明標章の登録出願人は,当該標章の使用を管理する規則を長官に提出しなければならない。

(2) その規則は,当該標章の使用を許可された者,当該標章により証明されるべき特徴,証明を行う者が当該特徴を試験する方法及び当該標章の使用を管理する方法,(ある場合は)当該標章の運用に関連して支払うべき手数料並びに紛争を解決するための手続を表示しなければならない。

(3) 規則が必要である更なる事項に対し,規則によって規定を定めることができる。

第7号 大臣による規則の承認,等

(1) 証明標章は,大臣が次の事項に納得しない限り,登録されない。

  • (a) 標章の使用を管理する規則が,次のことを満たすこと
  • (i) 第6号(2)の規定及び規則により課される更なる要件を満たしていること,及び
  • (ii) 公の政策又は一般に容認された道徳原理に反さないこと
  • (b) 当該出願人が,その標章が登録される商品又はサービスを証明することができること

(2) (1)の規定における以外の登録要件に合致していることが長官にとって明らかな場合は,長官は,出願人に当該出願手続を進めることを認める。

(3) 手続することを許される所定の期間内に,出願人は,(これが未だなされていない場合は)当該規則を提出し,かつ,所定の手数料を支払わなければならないものとし,出願人がこれをしない場合は,当該出願は取り下げられたものとみなされる。

第8号

(1) 大臣は,第7号(1)の規定にいう事項を斟酌し,当該登録出願が受理されるか,(規則の修正又はその他方法についての)制約に従うことを条件として受理されるか,又は受理されないことを指示できる。

(2) 大臣がその出願の受理を指示し,また,すべての条件が所定の期間内に満たされる場合は,長官は,第43条の規定に従って手続を進める。

(3) 大臣が特定の制約に従うことを条件として出願を受理し,それらの制約が所定の期間内に満たされない場合は,当該出願は取り下げられたものみなされる。

第9号

規則は,公告され,第7号(1)の規定にいう事項に関して,異議申立の通知をし意見を提出することができるものとし,出願に対し異議申立をし又は意見を提出することができる他のあらゆる理由に付加される。

第10号 閲覧に供すべき規則

登録証明標章の使用を管理する規則は,登録簿と同じ方法で,公衆の閲覧に供される。

第11号 規則の修正

(1) 登録証明標章の使用を管理する規則の修正は,大臣がその修正に同意し,かつ,その修正された規則が長官に提出されない限り及びそれまでは,効力を生じない。

(2) 大臣は,(1)の規定に基づく同意の申請を,そうすることが適切と判断する場合はどの場合も,公告させることができる。

(3) 何人も,その申請が公告された日から所定の期間内に,当該申請に対する異議申立の通知を大臣に提出することができるものとし,また,そのような通知は,所定の様式の書面で提出し,かつ,異議申立の理由の陳述を含める。

(4) 大臣が(1)の規定にいう修正に同意した後,長官は,修正された当該規則が長官に提出されたときに,公報に通知を公告する。

第12号 登録証明標章の譲渡に対する同意

登録証明標章の譲渡又はその他の移転は,大臣の同意がない限り,効力を生じない。

第13号 侵害訴訟手続:許可を受けた使用者の権利

(1) 許可を受けた使用者と標章所有者との間の取決にも拘らず,本号の規定は,登録証明標章の権利侵害に関して効力を有する。

(2) 許可を受けた使用者は,自己の利益に影響を及ぼすすべての事項に関して,侵害訴訟手続をとるよう標章所有者に要求する権限を有する。

(3) 標章所有者が,そのようにするよう要求されて後2月以内に(2)の規定に従う侵害訴訟手続を提起することを拒否したり,又は手続を取らない場合は,許可を受けた当該使用者は,その標章所有者に代わって,自己の名義で訴訟手続を提起することができる。

(4) 侵害訴訟手続が(3)の規定により提起される場合は,次の通り手続が行われる。

  • (a) 許可を受けた当該使用者は,標章所有者が原告として参加するか又は被告として加えられない限り,裁判所の許可を得ないで当該訴訟手続を進めることができない。及び
  • (b) 被告として加えられる標章所有者は,自己が当該訴訟手続に参加しない限り,その訴訟における如何なる費用も負担する責任を負わない。

(5) (4)の規定において,許可を受けた使用者のみによる申請に基づく仮救済を認めることに影響を及ぼす規定はない。

(6) 登録証明標章の所有者により提起された侵害訴訟手続の過程において,許可を受けた使用者が被った又は被る虞のあるすべての損害が,裁判所によって斟酌される。また,裁判所は,原告がその使用者のために金銭的救済の利益を受け取る範囲について,適正と判断する指示を与えることができる。

第14号 登録の取消理由

(1) 第51条に規定された取消理由とは別に,証明標章の登録は,次の理由により,取り消すことができる。

  • (a) 当該標章所有者が,第4号の規定にいう事業を始めていること,又は
  • (b) 当該標章所有者が使用している当該標章の態様が,第5号(1)の規定にいう態様において公衆を誤認させる虞があるものとなっていること,又は
  • (c) 当該標章所有者が,当該標章の使用を管理する規則を遵守せず又は遵守を保証しなくなったこと,又は
  • (d) 当該規則が修正された結果,その規則が,次の状態になったこと
  • (i) 第6号(2)の規定及び規定により課される追加の要件を満たさなくなったこと,又は
  • (ii) 公の政策又は容認された道徳原理に反するものとなったこと,又は
  • (e) 当該標章所有者が,その標章が登録される商品又はサービスを証明することができないこと

(2) (1)(c),(d)又は(e)の規定にいう理由に基づく取消申請は,大臣に対して行う。

(3) 本号の適用上,第51条(6)において長官又は裁判所というときは,大臣をいうものと解する。

第15号 登録の無効理由

(1) 第52条に規定された無効理由とは別に,証明標章の登録は,当該標章が第4号,第5号(1)又は第7号(1)の規定に違反して登録されたことを理由として,無効の宣言をすることができる。

(2) 第7号(1)の規定に違反して登録されたことを理由として,無効の宣言をするための申請書は,大臣に対して行う。


第16号 大臣の職務に関する一般規定

(1) 第69条から第74条までの規定は,長官及び長官の職務に関して適用されるのと同様に,本附則に基づく大臣及び大臣の職務に関しても適用される。

(2) 第79条の規定は,長官の決定に関して適用されるのと同様に,本附則に基づく大臣の決定に関しても適用される。

(3) 大臣は,本附則に基づく自己のすべての職務の免責を目的として,大臣にとってその種の事項に対し経験を有していることが明らかな団体又は個人にある事項を照会することができるものとし,また,大臣の決定の過程において,それらの者の報告又は助言を参酌することができる。

附則3 経過規定

第1号 序

(1) 本附則において,次の言葉は以下を意味する。

「施行」とは,本法の施行を意味する。

「既存の登録標章」とは,1963年法が意味する範囲内で,施行の直前に,その法律に基づいて登録された商標又は証明商標を意味する。

「従前の登録簿」とは,1963年法に基づいて保管管理されていた商標の登録簿を意味する。

「従前の法律」とは,1963年法及び施行の直前に既存の登録標章に適用されていたその他の立法又は法律の規則を意味する。

「新登録簿」とは,本法に基づき保管管理されている商標の登録簿を意味する。

(2) 本附則の適用上,出願がなされていても施行の前には未決であった場合の出願は,施行の時に審理中として取り扱われる。

第2号 既存の登録標章

(1) (従前の登録簿のA部又はB部の何れかに登録されていた)既存の登録標章は,施行の時に新登録簿に転記されるべきものとみなし,本附則の規定に従うことを条件として,本法に基づき登録されたものとして効力を有する。

(2) (1)の規定は,当該標章それ自体に適用するのと同様に,既存の登録標章に関するすべての記載事項に適用する。

(3) 既存の登録標章がその他の標章と連合することを示す記載事項は,施行の時に効力を失う。

(4) 施行の直前に既存の登録標章について従前の登録簿に記載された条件は,施行により効力を失う。また,施行の時に係属中の1963年法第41条(条件の不履行のため登録の抹消又は変更の申請)の規定に基づく手続は,(新登録簿においてなされる何らかの所要の変更をもって)従前の法律に基づき処理される。

(5) 施行の直前に既存の登録標章について従前の登録簿に記載され,かつ,効力を有していた権利の部分放棄又は限定は,新登録簿に転記されるべきものとみなし,第17条の規定に従って新登録簿に記載されたものとして効力を有する。

第3号 登録の効力:侵害

(1) 第13条から第16条まで(登録の効力)の規定は,施行の時から既存の登録標章について適用するものとし,第18条(侵害訴訟)の規定は,(3)の規定に従うことを条件として,施行の後に既存の登録標章の侵害について適用する。

(2) 1937年の法解釈法の運用に影響を及ぼすことなく,従前の法律は,施行の前に犯された侵害について引き続き適用する。

(3) 従前の法律に基づく既存の登録標章の侵害に該当しなかった使用を施行の後に継続することは,次の標章又は商標の侵害とはならない。

  • (a) 既存の登録標章,又は
  • (b) 識別性のある要素が既存の登録標章のそれと同一又は実質的に同一で,かつ,同一の商品又はサービスに登録されている登録商標

第4号 侵害商品,素材又は物品

第20条(侵害商品,素材又は物品の引渡命令)の規定は,施行の前に作られたものであれ施行の後に作られたものであれ,侵害にあたる商品,素材又は物品に適用される。

第5号 使用権者又は許可を受けた使用者の権利及び救済

(1) 第34条(侵害事件における使用権者の権利に関する一般規定)の規定は,施行の前に許諾されたライセンスに適用する。ただし,施行の後に犯された侵害についてのみ適用する。

(2) 附則2第13号(6)の規定は,施行の後に犯された侵害についてのみ適用する。

第6号 登録商標の譲渡等

(1) 第28条(登録標章の譲渡又は移転)の規定は,既存の登録標章に関連して施行の後に生じた取引及び事件について適用する。また,従前の法律は,施行の前に生じた取引及び事件について引き続き適用する。

(2) 施行の時に係属中の1963年法第33条の規定に基づく登録申請(登録標章の譲渡又はその他の移転)は,第29条の規定に基づく登録申請として取り扱われるものとし,また,長官が当該申請人に対し当該申請を本法の要件に従ったものに補正するよう要求することができること以外は,これに従って手続される。

(3) 長官によって決定されたが,施行の前に最終的な決定に至らなかった1963年法第33条の規定に基づく登録申請は,従前の法律に基づき処理される。

(4) ある者が,施行の前に譲渡又は移転により,ある既存の登録標章に関する権限を取得したが,自己の権限を登録する申請をしていなかった場合は,施行の後の登録申請は,第29条に基づきなされる。

(5) (3)の規定の結果として,従前の登録簿になされなかった記載事項は,第2号の適用上,既存の登録標章に関する記載事項として取り扱われる。

第7号 登録標章のライセンス許諾

(1) 第32条及び第33条(2)(登録標章のライセンス許諾:許諾者の権原の承継人に対する排他的使用権者の権利)の規定は,施行の後に許諾されたライセンスについてのみ適用する。また,施行の前に許諾されたライセンスについては,従前の法律を引き続き適用する。

(2) 1963年法第36条(登録使用者)の規定に基づく既存の記載事項は,施行の時に新登録簿に転記されるべきものとみなし,第29条の規定に基づき記載されたものとして効力を有する。

(3) 施行の時に係属中の登録使用者として登録するための申請は,第29条(1)の規定に基づくライセンスの登録申請として取り扱われるものとし,また,長官が申請人に対し当該申請を本法の要件に従ったものに補正するよう要求することができること以外は,これに従って手続される。

(4) 長官によって決定されたが,施行の前に最終的な決定に至らなかった登録使用者として登録するための申請は,従前の法律に基づき処理されるものとし,また,本段落の規定の結果として,従前の登録簿になされなかった記載事項は,第2号の適用上,既存の登録標章に関する記載事項として取り扱われる。

(5) 施行の時に係属中の1963年法第36条(7)又は(9)(登録使用者の変更又は取消)の規定に基づく手続は,(新登録簿においてなされる何らかの所要の変更をもって)従前の法律に基づき処理される。

第8号 係属中の登録出願

(1) 本号の規定は,商標の登録出願が1963年法の意味の範囲内において,施行の時に係属中である場合に適用される。

(2) 第9号の規定に従うことを条件として,当該出願は,従前の法律に基づいて取り扱われる(また,当該標章の登録性が決定される)ものとし,その決定の時に,登録されるべきものとなった標章は,本附則の適用上,既存の登録標章として処理される。

(3) 係属中の登録出願を本法の手続規定により続行することができる規定を規則により定めることができる。

第9号 係属中の出願の転向

(1) 本号の規定は,施行の時に係属中であった出願が1963年法第26条の規定に基づき公告されなかった場合に,適用する。

(2) (1)の規定が適用される場合において,出願人が当該標章の登録性を本法の規定に従って決定するよう求める通知を長官に行うときは,長官は,これに応じて,その出願を処理する。

(3) (2)の規定の通知は,所定の様式で,所定の手数料を添えて,施行の後6月以内にする。

(4) (2)の規定によりなされた通知は,撤回することができないものであり,また,当該通知に関する出願は,施行の時になされたものとして取り扱われ,かつ,その出願日が施行の日であるものとして取り扱われる。

第10号 登録の存続期間及び更新

(1) 第47条(1)(登録の最初の存続期間)の規定は,商標の登録性が本法の規定により決定される場合において適用する。また,従前の法律は,その他の場合に適用する。

(2) 第47条(2)及び第48条(登録の更新)の規定は,施行の時又は施行の後に当該更新がその期日が来たときに適用される。また,従前の法律は,その他の場合に適用する。

(3) 本号の規定の適用上,その申請がいつなされたか又は当該手数料がいつ支払われたかは,重要ではない。

第11号 不使用による取消

(1) 施行の時に係属中の1963年法第34条(不使用の理由により登録簿から抹消すること又は制限を加えること)の規定に基づく申請は,(新登録簿においてなされる何らかの所要の変更をもって)従前の法律に基づき処理される。

(2) (3)の規定に従うことを条件として,第51条(1)(a)又は(b)(不使用による取消)に規定される理由で第51条(4)の規定に基づく申請は,施行の後はいつでも,既存の登録標章について行うことができる。

(3) 1963年法第35条(周知商標の防衛登録)の規定により登録された既存の登録標章の登録の取消のための第51条に基づく申請は,施行の後5年を経過するまでは行うことができない。

第12号 訂正等の申請

施行の時に係属中の1963年法第40条又は第42条(登録簿の訂正又は修正)の規定に基づく申請は,(新登録簿においてなされる何らかの所要の変更をもって)従前の法律に基づき処理される。

第13号 既存の登録標章の有効性

従前の法律は,既存の登録標章の登録の有効性に関して引き続き適用する。また,当該登録の有効性についての異議は,本法の要件を満たしていない理由では,行うことができない。

第14号 証明標章

(1) 施行の時に,既存の証明標章の使用を管理する規則の修正のための申請が係属中である場合は,当該申請は,従前の法律に基づき処理される。

(2) (1)の規定において「既存の証明標章」とは,施行の直前に1963年法に基づき登録された証明商標を意味する。

第15号 サービスのための商標に関する施行の前の出願

(1) 1993年1月1日と施行との間の期間において,長官に対してサービスについて商標の登録出願がなされた場合は,本法は,(2)の規定に従うことを条件として,次のとおり効力を有する。

  • (a) 当該出願が施行の時になされたものとして,及び
  • (b) その出願日が施行の日であったものとして
    また,長官は,これに応じて当該出願を処理する。

(2) 1963年法第20条(3)(商品等に関し同一の商標の登録のための別出願)の規定は,(1)の規定の範囲内に入る出願について,次のようにして適用する。

  • (a) 商品又は商品の説明の言及をサービスの言及と置き換えて,及び
  • (b) ただし書を削除して

産業財産権により商標を強力に保護することが可能になります。

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