アイルランドにおける商標法の解説です。日本における商標法と共通する部分もありますが、異なる点もありますので注意が必要です。
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第I部 序及び総則
第1条 略称及び施行
(1) 本法は1996年商標法として引用される。
(2) 本法の規定は,大臣が政令によって指定した日から有効となる。
(3) 別の規定及び別の目的のためには,別の日が指定されることもある。
第2条 解釈
(1) 本法において,文脈上別段の解釈を要する場合を除き,次の解釈を行う。
- 「1963年法」とは,1963年施行の商標法を意味する。
- 「譲渡」とは,当事者によりなされた譲渡を意味する。
- 「営業」とは,貿易又は専門職による業務を含む。
- 「共同体商標」,及び「共同体商標規則」とは,第56条に規定された意味を有する。
- 「長官」とは,特許意匠商標長官を意味する。
- 「パリ条約加盟国」とは,第60条に規定された意味を有する。
- 「裁判所」とは,高等裁判所を意味する。
- 「取締役」とは,法人に関して,その法人の経営管理を行う者を意味する。
- 「先の商標」とは,第11条に規定された意味を有する。
- 「排他的ライセンス」と「排他的使用権者」とは,第33条に規定された意味を有する。
- 「侵害訴訟手続」とは,登録商標に関して,第20条の規定に基づく手続を含む。
- 「公報」とは,特許庁公報を意味する。
- 「大臣」とは,企業及び雇用省の大臣を意味する。
- 「庁」とは,特許庁を意味する。
- 「パリ条約」とは,第60条に規定された意味を有する。
- 「パートナーシップ」とは,1890年のパートナーシップ法第1条により規定された意味を有する。
- 「所定の」とは,裁判所手続においては,裁判所規則に記載されている所定の事項であり,又,その他如何なる場合においても,今後制定される本法又は命令,規則又は規約に記載されている所定の事項である。
- 「公告」とは,一般公衆の閲覧に供することであり,次の公告を意味する。
- (a) 登録出願に関しては,第43条(1)の規定に基づく公告,及び
- (b) 登録に関しては,第45条(4)の規定に基づく公告
- 「登録簿」とは,第V部の規定を除き,本法に基づいて保管管理される商標登録簿を意味する。
- 「規則」とは,裁判所の規則に関する場合を除き,第81条の規定に基づいて大臣により作成された規則を意味する。
- 「アイルランドの記章」とは,パリ条約第6条の3の規定に基づいて知られるような記章を意味する。
- 「商取引」とは,如何なる営業又は専門職の業務も含む。
- 「商標」とは,第6条に規定された意味を有する。
(2) 本法でいう,商標,又は商標と同じ,又はそれと類似の,又は商標と間違え易い標識の使用(又はその使用の詳細説明)は,図的表示によるもの以外の使用(又はその使用の説明)を 含む。
(3) 本法において共同体法律文書というときは,当該法律文書を改正又は差し替える法律文書を含む。
(4) 本法において,
- (a) ある部又はある条というときは,別の法律を意味することが示されていない限り,本法のある部又はある条をいう。
- (b) ある項又はある号というときは,別の規定を意味することが示されていない限り,それが指している規定の項又は号をいう。
(5) 本法において,ある法律というときは,本法も含め,他の法律に基づき改正された当該法律を含む。
第3条 命令,規則及び規定
(1) 命令,規則又は規定を制定する権限が本法によって与えられる場合は,そのような命令,規則又は規定は,その権限が関連するすべての事項,又は何れか1つ又は複数の事項に関連して制定されるものとし,また,別の分類又は記載に関する事項についての別の命令,規則又は規定によって,別の規定が制定される。
(2) (3)の規定に従って,本法に基づくすべての命令,規則又は規定は,それが制定され次第直ちに,国会の各上院下院に提出されるものとし,また,当該命令,規則又は規定が議会に提出された直後から21日以内に上院下院の何れかにおいて当該命令,規則又は規定を無効にする決議が通過した場合は,それに従って当該命令,規則又は規定は無効にしなければならない。ただし,それ以前に当該法律に基づいて決定された法律の有効性については何ら影響を与えない。
(3) 次の場合,すなわち,
- (a) 規則が第57条又は第59条の規定に基づいて制定されることが提案されている場合,又は
- (b) 命令が第60条の規定に基づいて制定されることが提案されている場合は,
(2)は適用されず,当該命令又は規則の草案は国会の各上院下院に提出されるものとし,その後,当該命令又は規則は,当該草案を承認する決議が各上院下院で通過するまで,制定されない。
(4) 如何なる命令,規則又は規定も本法に基づいて制定され次第直ちに,それらが制定された事実及びそれらの写を入手できる場所を公示する通知が公報に掲載される。
(5) 本法に基づいて命令を制定する如何なる権限も,第1条(2)の規定に基づく命令の場合を除き,その権限の行使において制定された命令を改正したり,又は廃止したりする権限も含まれる。
第4条 費用
本法の管理権限内において大臣が負うべき費用は,大蔵大臣によって承認される範囲内において,国庫から支払われるべき。
第5条 廃止
第100条の規定に従い,1963年法はこれより廃止される。
第II部 登録商標
序文
第6条 商標
(1) 本法においては,「商標」とは,図として表現可能な如何なる標識をも意味し,ある事業の商品又はサービスを,他の事業のそれらと区別することが可能なものをいう。
(2) (1)の規定にとらわれることなく,商標は,特に,語(個人の名称を含む。),図案,文字,数字,又は,商品若しくはその包装の形状から成る。
(3) 本法において商標というときは,文脈上別段の解釈を必要としない限り,第54条の規定の意味する範囲内においての団体標章,又は第55条の規定の意味する範囲内においての証明標章を含む。
第7条 登録商標
(1) 登録商標とは,本法に基づいて商標の登録により取得された財産権であり,また,登録商標の所有者は,本法により定められた権利行使及び救済を受ける権利を有する。
(2) 登録されていない商標それ自体の侵害の防止又は賠償を請求する裁判手続はない。ただし,本法によって,詐称通用に関する法律に対しては何ら影響を与えない。
登録拒絶の理由
第8条 登録拒絶の絶対的理由
(1) 次のものに該当するものは,商標として登録されない。
- (a) 第6条(1)の規定の要件を満たさない標識
- (b) 識別性を何ら有していない商標
- (c) 商品又は施されるサービスの種類,品質,数量,用途,価格,原産地,生産時期,若しくは商品又はサービスのその他の特徴を表すために商取引上役立つことができる標識又は表示のみからなる商標
- (d) 商取引上の通用語において若しくは公正でかつ確立した商習慣において常用されるようになっている標識又は表示のみからなる商標
ただし,商標がその登録出願の日前に使用された結果,実質的に識別性を有している場合は,(b),(c)又は(d)の規定によって登録を拒絶されない。
(2) 標識は,それが次に掲げるもののみからなる場合は,商標として登録されない。
- (a) その商品自体の性質に由来する形状,又は
- (b) 技術的成果を得るのに必要な商品の形状,又は
- (c) その商品に実質的価値を与える形状
(3) 商標は,次の場合は,登録されない。
- (a) 公の政策又は一般に容認されている道徳原理に反する場合,又は
- (b) たとえば,その商品又はサービスの性質,品質又は原産地に関して,一般公衆を欺瞞するような性質のものである場合
(4) 商標は,次の場合又はその範囲で,登録されない。
- (a) その使用が,アイルランドにおいて制定法又は法律の規則により若しくは共同体法の規定により禁止されている場合,又は
- (b) 登録出願が出願人によって悪意を以ってなされた場合
第9条 特別に保護される記章
(1) アイルランドの記章又はそのような記章と見間違われ易い酷似した記章又は図案から成るか,又はそれを含む商標は,長官が大臣からその登録について同意を得て満足しない限り,登録されない。
(2) 憲法第7条に規定されているような,アイルランドの国旗を表わすものから成るか,又はそれを含む商標は,当該商標の使用が誤解を招き易いか,又は概略的に犯罪的行為となる可能性があると長官が認めた場合は,登録されない。
(3) 長官は,規則によって規定されている承認を得ない限り,公共機関の紋章,図案又は記章から成るか,又はそれを含む商標の登録を拒絶することができる。
第10条 登録拒絶の相対的理由
(1) 商標は,それが先の商標と同一であり,かつ,その商標が適用されている商品又はサービスと同類の商品又はサービスが先の商標で保護されている商品又はサービスと同一である場合は,登録されない。
(2) 商標は,次の理由がある故に,公衆に対して混同を与える虞があり,先の商標と後の商標との関連の虞を含んでいる場合は,登録されない。
- (a) 商標が,先の商標と同一であり,かつ,先の商標で保護されている商品又はサービスと同類の商品又はサービスに対して登録されようとしていること,又は
- (b) 商標が,先の商標と類似であり,かつ,先の商標で保護されている商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスに対して商標が登録されようとしていること
(3) 次の場合の商標は,先の商標がアイルランドにおいて(又は共同体商標の場合は共同体において),名声を得ていて,かつ,正当な理由なく後の商標を使用することが先の商標の識別性又は名声に不当な不利益をもたらし,又は有害となる場合,又はその範囲内で,登録されない。
- (a) 先の商標と同一若しくは類似である場合,及び
- (b) 先の商標で保護されている商品又はサービスと同類でない商品又はサービスに対して登録されることになっている場合
(4) 商標は,次の場合によって,アイルランドにおけるその使用が妨げられる対象となる場合,又はその範囲内で,登録されない。
- (a) 未登録の商標又は商取引の過程で用いられているその他の標識を保護するための何らかの法律規則(特に,詐称通用に関する法律)による場合,又は
- (b) (1)から(3)まで及び(a)の規定に該当しない先の権利による場合,特に,著作権法,登録意匠法又は称呼の権利,個人的肖像権,又は産業財産に関するその他の関連法による場合
(5) (4)の規定にいう法律規定又は先の権利によりある者が商標の使用を妨げる権利を有することとなる場合は,その者は,本法において商標に関する「先の権利」の権利者となるものである。
(6) 先の商標の所有者又はその他の先の権利の権利者が当該登録について同意する場合は,本条において商標の登録について妨げるものはない。
第11条 「先の商標」の意味
(1) 本法において「先の商標」とは次を意味する。
- (a) (適する場合)その商標に関して主張されている優先権を考慮して,その商標が問題となっている商標の出願日よりも早い出願日を有している登録商標,国際商標又は共同体商標
- (b) たとえ先に登録になっている商標又は国際商標が無効になっていたり,又は失効が認められている場合であっても,当該先に登録になっている商標又は国際商標からの優先権を有効に主張している共同体商標,又は
- (c) 問題となっている商標の出願日に,又は(適する場合)その出願に関して主張された優先日に,パリ条約に基づいて周知商標として保護が認められている商標
- (2) 本法において先の商標というときは,登録出願がなされ,かつ,それが登録されたことにより,(1)(a)又は(b)の規定に従い先の商標となる商標に関係する商標を含む。
(3) (1)(a)又は(b)に規定されている商標の登録が満了となった場合は,長官がその満了直前の2年間にその商標の公正な使用がなかったことを認めない限り,その満了直後の1年間は後の標章の登録性を決定する際にその商標が継続して考慮される。
第12条 正当な同時使用の場合の相対的理由の提示
(1) 本条は,長官が商標登録出願について,次の事実を認めた場合に適用される。
- (a) 先の商標があり,その商標に関連して第10条(1)から(3)までに規定されている条件の何 れかが適用されること,又は
- (b) 先の権利があり,その先の権利に関連して第10条(4)に規定されている条件が満たされること
ただし,出願人は,長官の承認に対し,登録が要求されている当該商標の正当な同時使用であることを示す。
(2) 本条が適用される場合は,先の商標の所有者又は他の先の権利の権利者により当該理由についての異議が異議手続において提起されていない限り,長官は,先の商標若しくは他の先の権利の理由でこの出願を拒絶してはならない。
(3) 本条の適用上,「正当な同時使用」とは,アイルランドにおいて出願人によるか又はその同意による使用であって,先に1963年商標法第20条(2)の規定の適用上の正当な同時使用と同等のものを意味する。
(4) 次の事項に対して,本条は何ら影響を与えない。
- (a) 第8条の規定に記載されている理由による登録の拒絶,又は
- (b) 第52条(2)の規定に基づく無効宣言の申請を行うこと
登録商標の効力
第13条 登録商標により付与される権利
(1) 登録商標の所有者は,商標における排他的権利を有するものとし,また,そのような権利は,当該商標所有者の同意を得ずにアイルランドにおいてその商標を使用した場合は侵害された。また,第14条の規定にいう行為は,当該商標所有者の同意を得なかった場合は,当該商標所有者の権利を侵害したことになる。
(2) 本法において登録商標の侵害というときは,当該登録商標の所有者の権利の侵害をいう。
(3) 登録商標の所有者の権利は,(第45条(3)の規定の通り)当該登録商標の登録日から有効となる。
(4) (3)の規定に拘らず,次の通りとする。
- (a) 侵害訴訟手続は,当該商標の登録の公告日前には,開始されない。及び
- (b) その日前になされた第92条に規定する如何なる行為も,犯罪行為とはみなされない。
第14条 登録商標の権利侵害
(1) 既に登録されている商標の商品又はサービスと同一の商品又はサービスに関する商標と同一の標識を,商取引の過程において使用する者は,当該登録商標を侵害する。
(2) 次の理由がある故に,公衆に対して混同を与える虞があり,標識と商標との関連の虞を含んでいる場合は,商取引の過程においてその標識を使用する者は,その登録商標を侵害する。
- (a) その標識が当該商標と同一であり,かつ,当該商標が登録されている商品又はサービスと同類の商品又はサービスに関して用いられること,又は
- (b) その標識が当該商標と類似であり,かつ,当該商標が登録されている商品又はサービスと同一又は類似の商品又はサービスに関して用いられること
(3) 次の標識を商取引の過程において使用する者は,商標がアイルランドにおいて名声を得ており,かつ,正当な理由なくその標識を使用することが,当該商標の識別性又は名声に不当な不利益をもたらし,又は有害となる場合は,その登録商標を侵害する。
- (a) 当該商標と同一又は類似である標識,又は
- (b) 当該商標が登録されている商品又はサービスと同類でない商品又はサービスに関して用いられる標識
(4) 本条の適用上,標識の使用については特に次の行為を含む。
- (a) その標識を商品又はその包装に付すること
- (b) 当該標識を付して商品を販売に供するか若しくは展示するか,市場に投入するか若しくはこれらの目的のために貯蔵するか,又は当該標識を付してサービスを申出するか提供すること
- (c) 当該標識を付して商品を輸入又は輸出すること,又は
- (d) 当該標識を商業文書又は広告に使用する場合
(5) 商品のラベル付け又は包装のために,商業文書として,又は,商品又はサービスを広告するために使用すべく素材に登録商標を利用する者は,その者が当該商標を利用したときに,当該商標の利用が当該登録商標の所有者又は使用権者により正当に許可されていないことを知っていた又はそれを信じるに足る理由を有していた場合は,当該登録商標を侵害するその素材の使用についての当事者として取り扱われる。
(6) 本条の前記各規定の何れも,登録商標の所有者又は使用権者の商品又はサービスとして商品又はサービスを識別する目的である者が当該登録商標を使用することを妨げるものと解するものではない。ただし,正当な理由のない当該使用が,当該登録商標の識別性又は名声に不当な不利益をもたらし,又は有害となる場合は,工業上又は商業上の公正な慣習に従った使用以外の如何なる当該使用も,当該登録商標を侵害するものとみなされる。
第15条 登録商標の効力の制限
(1) 登録商標は,他の登録商標が登録されている商品又はサービスに関する当該他の登録商標の使用によっては侵害されない。ただし,第52条(6)の規定に従う。
(2) 登録商標は次の使用によっては侵害されない。
- (a) ある者による自己の名称又は住所の使用
- (b) 商品又は施されるサービスの種類,品質,数量,用途,価格,原産地,又は生産時期若しくは商品又はサービスのその他の特徴に関する表示の使用,又は
- (c) 特に付属品又は予備部品のような製品又はサービスの用途を表示する必要がある場合の商標の使用
ただし,そのような使用は,工業上及び商業上の公正な慣習に従ったものである場合に限る。
(3) 登録商標は,特定の地方にのみ通用する先の権利が当該地方における商取引の過程で行使されることによっては侵害されない。
(4) (3)の規定の適用上,「先の権利」とは,次の事項より先の日から,ある者又はその権限ある前任者によって商品又はサービスに関して継続して使用されている未登録の商標又はその他の標識を意味する。
- (a) 商標所有者又はその権限ある前任者によるその商品又はサービスに関しての最初に述べた商標の使用,及び
- (b) 商標所有者又はその権限ある前任者の名義でのそれらの商品又はサービスの関しての最初に述べた商標の登録
また,先の権利は,特定の地方における行使が何らかの法律の規定,特に詐称通用に関する法律によって保護されている場合,又はその範囲内で,その地方において通用するものとみなす。
第16条 登録商標により付与される権利の消尽
(1) 登録商標は,その所有者により又はその同意を得て当該商標の下に欧州経済地域(European Economic Area)の市場に出されている商品に関して当該商標を使用することによっては侵害されない。
(2) (1)の規定は,当該商標所有者がその商品を更に扱うことに反対する正当な理由がある場合,特に,その商品が市場に出された後にその商品の状態が変更されたり,又は損なわれてしまった場合は,適用されない。
第17条 権利の部分放棄又は限定を条件とする登録
(1) 商標の登録出願人又は登録商標の所有者は,次の事項を行う。
- (a) 当該商標の特定の要素の排他的ライセンスを部分放棄すること,又は
- (b) その登録によって付与される権利は特定の領域的又はその他の限定に従うことに同意す ること
また,商標の登録が権利の部分放棄又は限定を条件とする場合は,第13条の規定により付与される権利は,これに応じて制限される。
(2) 商標登録の出願について,長官が,当該商標のある特定の要素の識別性を認めず,かつ,その要素を当該商標に含めることにより当該商標の保護の範囲に関して疑義が生じる虞がある場合は,長官は,当該出願人が長官の指定した期間内に(1)(a)の規定に基づき当該要素に関して権利の部分放棄をすることに同意しない限り,その出願を受理することを拒絶することができる。
(3) 権利の部分放棄又は限定の詳細事項は登録簿に登録される。
侵害訴訟手続
第18条 権利侵害訴訟
(1) 登録商標が権利侵害される場合は,その商標所有者は侵害訴訟を起こすことができる。
(2) 登録商標の権利侵害訴訟において,その所有者は,他の所有権の侵害について利用できるような損害賠償,差止命令,計算訴訟又はその他の方法による救済手段のすべてを利用することができる。
第19条 違反標識抹消等に関する命令
(1) ある者が登録商標を権利侵害していることを発見された場合は,裁判所はその者に対して次の事項を要求する命令を発することができる。
- (a) その者が所有,保管又は管理している侵害にあたる商品,素材又は物品から違反標識を抹消し,除去し,又は隠蔽すること,又は
- (b) その違反標識を抹消し,除去し,又は隠蔽することが無理なく実施できない場合は,問題の侵害にあたる商品,素材又は物品の破棄を保証すること
(2) (1)の規定に基づく命令に応じないか,若しくはそのような命令に応じない可能性があるものと裁判所が認める場合は,裁判所は,場合により,裁判所が当該標識の抹消,除去又は隠蔽,若しくは廃棄を指示ができる者へ,当該侵害にあたる商品,素材又は物品を引き渡すよう命令することができる。
第20条 侵害商品,素材又は物品の引渡命令
(1) 登録商標の所有者は,ある者が商取引又は商取引目的の他の手段(販売又は賃借のための申出又は提示を含む。)の過程で所有,保管又は管理している侵害にあたる商品,素材又は物品を自己に又は裁判所が指示できる当該他の者に引き渡す命令を発するよう,裁判所に申請することができる。
(2) 侵害にあたる商品,素材又は物品の引渡のための申請書は,第22条に定める期間の満了後に提出してはならない。また,裁判所が第23条の規定に基づく命令を発するか又はその命令を発するに足る理由があるものと裁判所が認めない限り,そのような命令は発せられない。
(3) 本条の規定に基づく命令に従い侵害にあたる商品,素材又は物品の引渡を受ける者は,第23条に基づく命令が発せられていない場合は,当該条に基づく命令が発せられるまで又はその命令が発せられない旨の決定がなされるまで,それらを保有しなければならない。
(4) 本条の如何なる規定も,裁判所のその他の権限に影響を与えるものではない。
第21条 「侵害商品,素材又は物品」の意味
(1) 本法においては,「侵害商品」,「侵害素材」及び「侵害物品」という表現は,以下に定義された意味を有する。
(2) 商品又はそれらの包装に,登録商標と同一又は類似の標識が付され,かつ,次の何れかの場合は,その商品は当該登録商標に関して「侵害商品」とされる。
- (a) 当該商品又はその包装に標識を利用することが当該登録商標の侵害となった場合,又は
- (b) 当該商品がアイルランドへ輸入されており又は輸入されようとしており,アイルランドにおいて当該商品又はその包装に当該商標を利用することが当該登録商標の侵害となる場合,又は
- (c) その他当該登録商標を侵害するような方法で当該商品に関し標識が利用されている場合
(3) (2)(b)の如何なる規定も,欧州連合(European Union)を管理するために設立又は提起された如何なる権利,若しくは同条約に基づきアイルランドに合法的に輸入された商品にも,適用されることはない。
(4) 素材に,登録商標と同一又は類似の標識が付され,かつ,次の何れかの場合は,その素材は当該登録商標に関して「侵害商品」とされる。
- (a) その素材が,登録商標を侵害するような方法で,商品をラベル付けし又は包装するため,商業文書として,若しくは商品又はサービスを広告するために使用される場合,
- (b) その素材が使用されようとし,その使用が当該登録商標を侵害することとなる場合
(5) 登録商標に関して「侵害物品」とは,次の物品を意味する。
- (a) 当該商標と同一又は類似の標識の複製を作るために特別に設計され又は調整された物品,及び
- (b) ある者が,その物品が侵害にあたる商品又は素材を製造するために使用されていた又は使用されることを知り又はそのことを信じるに足る理由を有しており,その者の所有,保管又は管理下にある物品
第22条 引渡の救済ができなくなる期間
(1) 本条の規定に従うことを条件として,第20条の規定に基づく命令の申請は,次の日から6年を経過した後では,提出できない。
- (a) 侵害商品の場合は,当該商標がその商品又は包装に利用された日
- (b) 侵害素材の場合は,当該商標がその素材に利用された日,又は
- (c) 侵害物品の場合は,それが作成された日
(2) (1)の規定の期間の全体又は一部の期間中に,当該登録商標の所有者が,
- (a) 行為無能力の状態である場合,又は
- (b) 当該商標所有者に命令を申請する権限があるという事実の発見が詐欺行為又は隠蔽行為によって妨げられている場合は, 申請は,当該商標所有者が行為無能力の状態でなくなった日,又は,場合により,相当の注意をして前記の事実を発見した日から6年の期間が満了する前は,何時でも提出できる。
(3) ある者が,1957年の時効の制定法の適用上,行為無能力の状態である場合は,(2)の規定の適用上も,行為無能力の状態である。
第23条 侵害商品,素材又は物品の処分に関する命令
(1) 侵害にあたる商品,素材又は物品が第20条の規定に基づく命令に従って引渡を受けた場合は,次の事項に対する申請を裁判所へ行うことができる。
- (a) 裁判所が適当と認める者に対する,前記侵害にあたるものを破壊又は没収すべき旨の命令,又は
- (b) そのような命令を発するべきでない旨の決定
(2) 裁判所は,(必要な場合)如何なる命令がなされるべきであるかを考慮するにあたり,当該登録商標の侵害訴訟において受けることのできる他の救済が,その商標所有者及び使用権者の利益を補償し,かつ,保護するために十分であるか否かを考慮しなければならない。
(3) 裁判所の規則により,商品,素材又は物品について利害関係を有する者について通知の 送達に関する規定を定めることができるものとし,かつ,その者は,次の権利を有する。
- (a) 通知が送達されていたか否かに拘らず,本条に基づく命令を求める手続に参加する権利,及び
- (b) 参加していたか否かに拘らず,発せられた命令に対し上訴する権利
また,裁判所が他に指示を出さない限り,命令は,上訴の通知を行うことができる期間の末日まで,効力を生じず,若しくは,その期間の末日前に上訴の通知が正式に行われた場合は,その上訴に関する手続の最終決定又は放棄まで,効力を生じない。
(4) 商品,素材又は物品に利害関係のある者が2人以上いる場合は,裁判所は,それが適当と認める命令を発する。。
(5) 本条の規定に基づく命令を発するべきでないと裁判所が決定する場合は,引渡前に当該商品,素材又は物品を所有,保管又は管理していた者は,それらの返還を受ける権利を有する。
(6) 本条の規定において,商品,素材又は物品について利害関係を有する者というときは,1963年の著作権法第27条に基づき,有利な命令を受けることができる何人をも含む
第24条 侵害訴訟手続の理由のない脅迫に対する救済
(1) 次に関する以外の事項について登録商標の侵害訴訟手続をとると他人を脅迫する場合は,被害者は,本条の規定に基づき救済を求める申請を裁判所に行うことができる。
- (a) 商品に対する当該商標の利用
- (b) 当該商標が利用されている商品の輸入,又は
- (c) 当該商標の下でのサービスの提供
(2) (1)に記載の申請できる救済とは,次の何れかである。
- (a) その脅迫が不当である旨の宣言
- (b) その脅迫の継続の差止命令
- (c) その脅迫によって被った損失に関する損害賠償
(3) 侵害訴訟手続をとると脅迫した当該手続に関する行為が当該登録商標の侵害を構成する(又は行われた場合は構成するであろう)ことを,被告が証明しない限り,原告は,(2)の規定にいう救済を受ける権利を有する。
(4) (3)の規定に拘らず,商標の登録が無効であるか又は該当事項について無効とされる可能性があることを原告が証明する場合は,原告は,(2)の規定にいう救済を受ける権利を有する。
(5) 商標が登録されるという通知又は登録出願がなされたという通知それ自体は,本条の適用上,侵害訴訟手続の脅迫とはならない。
第25条 侵害商品,素材又は物品;差押及び調査の権原
(1) 侵害にあたる商品,素材又は物品が,商取引又は商取引目的の他の手段(販売のための申出又は提示を含む。)の過程で,ある者の所有,保管又は管理の下にあることを信じるに足る正当な理由があると,地方裁判所が認めた場合は,地方裁判所は,当該商品,素材又は物品を,令状なしに押収し,かつ,それらを地方裁判所に持ち込むことを監査委員(旧憲兵隊:Garda Siochana)に,命令をもって,認めることができる。
(2) 侵害にあたる商品,素材又は物品が,商取引又は商取引目的の他の手段の過程で,訴の事実にあることを疑う正当な理由があると,地方裁判所の判事が,宣誓した情報より認める場合は,当該判事は,刑事以下の資格ではない監査委員を指名して,当該監査委員が,必要に応じて他の委員と共にその訴の事実を掴み,必要な場合は武力を以って当該商品,素材又は物品を押収し,かつ,それらを裁判所に持ち込むことを認める捜査令状を交付できる。
(3) (1)又は(2)の規定に基づき当該裁判所に持ち込まれた商品,素材又は物品が侵害にあたる商品,素材又は物品であることを示す当該地方裁判所へ出された証拠に基づき,当該裁判所は次の命令を出すことができる。
- (a) それらのものを関係する当該登録商標の所有者へ引き渡す旨の命令
- (b) 当該裁判所が適切と認める者に,それらのものを破棄又は没収させる旨の命令,又は
- (c) 当該裁判所が適切と認める方法で,それらのものを処分する旨の命令
(4) 本条の規定に基づく裁判所の権原は,当該商品,素材又は物品が当座存在し,又は場合により,関係する当該事実の立地した地方の地方裁判所の判事が行使する。
財産権の対象としての登録商標
第26条 登録商標の性格
登録商標とは動産である。
第27条 商標の共有
(1) 1つの商標に利害を有する2人又はそれ以上の者の関係が,次の場合にあるとき以外では,本人と他の1人又はその他の者の間の誰もが単独ではそれを使用する権利を有していない場合は,それらの者は当該商標の共有者として登録できる。
- (a) 両者又はそれらの者全員による場合,又は
- (b) 両者又はそれらの者全員が商取引の過程で関係している物品に関しての場合
(2) (1)に規定されている場合を除き,商標を個別に使用するか又は使用しようとする2人若しくはそれ以上の者を商標の共有者として登録することは,本法の如何なる規定からも許されない。
(3) (4)の規定に従うことを条件として,(1)の規定に従い,2人若しくはそれ以上の者が1つの商標の共有者として登録される場合は,本法は,当該権利があたかも個人に付与される如くに,それら全員に付与される当該商標を使用する如何なる権利に関しても,効力を有する。
(4) 1つの商標の共有者(本項において「共有者」という。)として登録される如何なる1人の権利も,次の場合の商品又はサービスについて物質的又は他の関係で当該商標を使用する他の共有者により侵害されるものとみなされる。
- (a) 当該商標がそのように登録される商品又はサービスに関しての場合,ただし
- (b) 当該共有者の両者又は全員がその商取引に関係していない商品又はサービスの場合
第28条 登録商標の譲渡等
(1) 登録商標は,譲渡,遺言による贈与又は法律の施行により他の動産と同様に移転することができ,また,営業ののれんと共に又はこれとは別個に移転することができる。
(2) 登録商標の譲渡又はその他の移転は,部分的に,すなわち,次の何れかに適用するように制限することができる。
- (a) 当該商標が登録されている商品又はサービスの全部ではなく一部に関して,又は
- (b) 当該商標の特定の態様又は特定の地方における使用について
(3) 登録商標の譲渡又は登録商標に関する継承財産付与証書は,それが譲渡人又はその代理人,若しくは場合により,人格代表者が署名した文書によるものでない限り,効力を有さない。また,この要件は,当該譲渡人又は人格代表者が法人である場合は,その印章を押捺することにより満たされる。
(4) (1)から(3)までの規定は,その他の譲渡に関して行われるのと同様の担保の方法による譲渡に適用される。
(5) 登録商標は,他の動産と同様に,担保の対象となる。
(6) 本法の如何なる規定も,営業のれんの一部として行われる未登録の商標の譲渡又はその他の移転に影響を及ぼすものと解してはならない。
第29条 登録商標に影響を与える取引の登録
(1) 次の者によって所定の様式で長官に行われた申請に基づき,取引の詳細事項は,所定の様式で登録簿に記載される。
- (a) 登録可能な取引により登録商標に利害関係を有するか又は登録商標に基づく権利を有することを主張する者,又は
- (b) そのような取引により影響を受けることを主張する者
(2) 次の事項は,本法の適用上の登録可能な取引である。
- (a) 登録商標又はこれに属する権利の譲渡
- (b) 登録商標に基づくライセンスの付与又は譲渡
- (c) 登録商標又はこれに属する又は基づく権利に関する約定担保権(固定か浮動かを問わない。)の付与
- (d) 登録商標又はこれに属する又は基づく権利に関して人格代表者による継承財産付与証書の作成,及び
- (e) 登録商標又はこれに属する又は基づく権利の裁判所又は所轄当局による移転命令
(3) 登録可能な取引の所定の詳細事項の登録申請がなされる迄は,次の規定に従わねばならない。
- (a) 当該取引は,それを知らないで,登録商標について又はそれに基づいて相反する利益を取得した者に対しては,効力を有さない。及び
- (b) 当該取引により使用権者であることを主張する者は,第34条又は第35条の規定の保護を受けることができない。
(4) ある者が,登録可能な取引により登録商標の所有者又は使用権者となる場合は,次の何れかの場合に該当しない限り,当該取引の日後であって当該詳細事項の登録申請がなされる前に生じた当該登録商標の侵害に関しては,損害賠償又は利益算定を受ける権利を有さない。
- (a) 当該取引の詳細事項の登録申請が,当該取引の日から6月以内に行われている場合,又は
- (b) 裁判所が,そのような申請を当該期間内に行うことが実行不可能であり,かつ,その申請がその後直ちに行われたと認める場合
(5) 本条の規定により登録簿に記載された登録可能な取引の詳細事項の訂正又は削除について,規則により規定を定めることができる。
第30条 信託及び衡平法
(1) 信託(明示の又は黙示の若しくは擬制の信託)の通知は,登録簿には記載されない。また,長官は,そのような通知により影響を受けない。
(2) 本法の規定に従うことを条件として,登録商標に関する衡平法は,他の動産に関するのと同様な方法で施行することができる。
第31条 財産権の対象としての商標登録出願
(1) 第26条から第30条までの規定は,必要な修正を加えて,登録商標に関して適用されるのと同様に,商標登録出願に関して,適用される。
(2) 商標登録出願に影響を与える取引に関して適用される第29条の規定において,詳細事項の登録簿への記入というとき,及び,詳細事項の登録申請というときは,長官に対しこれら の詳細事項を通知することをいうものと解する。
(3) (2)にいう通知に続く手続は,規則により規定を定めることができる。
ライセンス許諾 第32条 登録商標のライセンス許諾
(1) 登録商標のライセンスは,包括的又は限定的とすることができる。
(2) 限定的ライセンスは,特に,次の場合に適用される。
- (a) 当該商標が登録されている商品又はサービスについての全部でなく一部に関しての場合,又は
- (b) 特定の態様で又は特定の地方における当該商標の使用の場合
(3) ライセンスは,許諾者により又はその代理人により署名された書面によるものでない限り,効力を有さないものとし,この要件は,当該許諾者が法人である場合は,その印章を押捺することにより満たされる。
(4) ライセンスに他に規定がない限り,当該ライセンスは,その許諾者の権利の承継人を拘束する。また,本法において,登録商標の所有者の同意を得て又は得ないで行うというときは,それに応じて解釈される。
(5) 当該ライセンスがその旨規定する場合は,サブライセンスが使用権者によって付与される。また,本法において,ライセンス又は使用権者というときは,サブライセンス又は再使用権者を含む。
第33条 排他的ライセンス
(1) 本法において「排他的ライセンス」とは,使用許諾者を含む他のすべての者を排除して,ライセンスにより認められる態様で登録商標を使用する権利を使用権者に認めるライセンス(包括的か限定的かを問わない。)を意味する。また,「排他的使用権者」という表現は,それに応じて解釈される。
(2) 排他的使用権者は,ライセンスにより拘束される権原の承継人に対し,当該使用許諾者に対して自己が有しているのと同じ権利を有する。
第34条 侵害事件における使用権者に関する一般規定
(1) 本条の規定は,第35条(2)の規定により,当該使用権者が自己の名義で訴訟手続を行う権利を有する場合又はその範囲についてを除き,登録商標の侵害に関する使用権者の権利について効力を有する。
(2) 使用権者は,当該ライセンス又は自己の利益が由来している何らかのライセンスにおいて別に定めない限り,自己の利益に影響を及ぼす事項についての侵害訴訟手続を提起するよう当該登録商標の所有者に対して要求する権利を有する。
(3) 当該商標所有者が次の何れかに該当する場合は,使用権者は,自己が商標所有者であるかの如く自己の名義で,その訴訟手続を行うことができる。
- (a) (2)の規定に基づき要求された場合に,その訴訟手続を提起することを拒否する場合,又は
- (b) そのような要求があって後2月以内にそのように提起しない場合
(4) 本条の規定により侵害訴訟手続が使用権者によって提起される場合は,使用権者は,当該商標所有者が原告として参加するか又は被告として加えられない限り,裁判所の許可を得ないで当該訴訟手続を進めることはできない。ただし,本項の規定は,使用権者単独の申請に基づく仮の救済を認めることについて影響を及ぼすものではない。
(5) (4)にいう被告として加えられる商標所有者は,自己が当該訴訟手続に参加しない限り,当該訴訟における費用を負担する責任を負わない。
(6) 登録商標の所有者によって提起された侵害訴訟において,裁判所は,使用権者が被った又は被る虞のある損害を斟酌する。また,裁判所は,原告が使用権者のために獲得すべき金銭的救済の額の範囲について裁判所が適当と認める指示を与えることができる。
(7) 本条の規定は,排他的使用権者が,第35条(1)の規定により,自己が当該登録商標の所有者であるのと同様に譲受人の権利と救済を有する場合又はその範囲内において,排他的使用権者に適用される。
第35条 譲受人の権利と救済を有する排他的使用権者
(1) 排他的ライセンスには,その使用権者が,当該ライセンスによって定めることができる範囲内において,ライセンスの後に生じる問題について当該ライセンスが譲渡であるのと同じ権利と救済を有することを定めることができる。
(2) (1)にいう規定が定められ又はその範囲内において,使用権者は,ライセンスの規定及び本条の以下の規定に従うことを条件として,当該商標所有者以外の者に対しても自己の名義で,侵害訴訟手続を提起する権利を有する。
(3) 排他的使用権者のこのような権利及び救済は,当該登録商標の所有者の権利及び救済と併存する。侵害に関する本法の規定において,登録商標の所有者というときは,それに応じて解釈される。
(4) 本条の規定により,排他的使用権者によって提起された訴訟において,被告は,当該登録商標の所有者が訴訟を提起した場合に利用できる如何なる防御手段も自身で利用することができる。
第36条 併存権利の行使
(1) 商標所有者又は排他的使用権者によって提起された登録商標の侵害訴訟手続が,当該者が併存的訴権を有する侵害と(全部又は一部分)関係する場合は,商標所有者又は場合により排他的使用権者は,何れか他方の者が原告として参加するか又は被告として加えられない限り,裁判所の許可なく訴訟を進めることができない。ただし,この規定は,商標所有者又は排他的使用権者の何れか一方のみの申請に基づく仮の救済を認めることに影響を及ぼすものではない。
(2) (1)にいう被告として加えられる者は,自己が当該手続訴訟に参加しない限り,当該訴訟における費用を負担する責任を負わない。
(3) 登録商標の侵害訴訟が提起され,それが商標所有者又は排他的使用権者が併存的訴権を有する又は有していた侵害と(全部又は一部分)関係している場合は,次のとおりとする。
- (a) 裁判所は,損害額の算定にあたって次の事項を斟酌する。
- (i) ライセンスの条件,及び
- (ii) 既に受けた金銭的救済若しくは商標所有者又は排他的使用権者の何れかが侵害について求めることができる金銭的救済
- (b) 損害額の算定が行われているか又は利益の計算が指示されているときは,当該侵害について商標所有者又は排他的使用権者の何れか他方に有利な利益の計算は指示されない。及び
- (c) 裁判所は,利益の計算を指示するときは,商標所有者又は排他的使用権者間の取決に従うことを条件として,裁判所が適正と認める割合に応じて両者間に配分する。
(4) (3)の規定は,商標所有者又は排他的使用権者の双方が当該訴訟の当事者であるか否かに拘らず,適用される。また,双方が当事者でない場合は,裁判所は,訴訟手続の当事者が,他方の当事者のために獲得すべき金銭的救済の額の範囲について裁判所が適当と認める指示を与えることができる。
(5) 登録商標の所有者は,第20条の規定に基づく命令を申請する前に,併存的訴権を有する排他的使用権者に通知する。また,裁判所は,そのライセンスの条件を考慮した上で,当該使用権者の申請に基づき,裁判所が適切と認めるような当該条に基づく命令を出すことができる。
(6) 本条の規定は,排他的使用権者と商標所有者との間の取決にも拘らず,効力を有する。
登録商標の出願 第37条 登録出願
(1) 商標の登録出願は,所定の様式に所定の情報を含めて,長官に対して行う。
(2) 当該出願には,出願人により又はその同意を得て,当該出願に指定されている商品又はサービスについて当該商標が使用されていること,若しくは,当該出願人が,そのように使用する真正な意志を有していることを陳述しなければならない。
(3) 当該出願は,適正な出願手数料の納付を条件とする。
第38条 出願日
(1) 商標登録出願の出願日は,当該出願人により所定の書類が長官に提出された日とする。また,その書類が異なった複数の日に提出された場合は,その出願日はそれらの最後の日とする。
(2) 本法において,登録の出願日というときは,その出願の提出日をいう。
第39条 商品及びサービスの分類
(1) 商品及びサービスは,商標の登録のために,所定の分類制度に従い分類される。また,各々の商標は,特定の商品又はサービスに関し,若しくは,商品又はサービスの分類に関して登録される。
(2) 商品又はサービスが何れの類に属するかについて生じる疑義は,長官によって決定されるものとし,その決定は終局のものとなる。
優先権 第40条 パリ条約に基づく優先権主張
(1) パリ条約加盟国において商標の保護のため正規に出願(本法において「パリ条約出願」という)をした者,又は,その権原ある承継人は,当該最初のパリ条約出願の出願日から6月間,同じ商品又はサービスの一部又は全部について同じ商標を本法に基づき登録するための,優先権を有する。
(2) 本法に基づく当該登録出願が(1)に規定の所定期間内になされた場合は,次のとおりとする。
- (a) 何れの権利が先の順位であるかを確定するための基準日は,最初のパリ条約出願の出願日とする。及び
- (b) 当該商標の登録可能性は,当該基準日と本法に基づく出願の出願日との間のアイルランドにおける当該商標の使用によっては,影響を受けない。
(3) パリ条約加盟国において,国内法又は国際協定に基づき正規の国内出願とされるすべての出願は,優先権を生じさせるものとして取り扱われる。また,このため「正規の国内出願」とは,当該出願の結果の如何を問わず,当該国に出願をした日付を確定するために適するすべての出願をいう。
(4) 最初のパリ条約出願と同じ対象について同じパリ条約加盟国においてなされた後の出願は,当該後の出願時において,次の場合に該当する場合は,最初のパリ条約出願(その出願日が優先権期間の初日である。)とみなされる。
- (a) 先の出願が,公衆の閲覧に付されず,かつ,如何なる権利も存続させないで,取り下げられ,放棄され又は拒絶された場合,及び
- (b) 先の出願が,未だ優先権主張の基礎とされていない場合
また,このような場合において,当該先の出願は,これ以後,優先権主張の基礎とすることができない。
(5) パリ条約出願を基礎として優先権を主張する方法については,規則により規定を定めることができる。
(6) パリ条約出願の結果として生じる優先権は,出願と共に又は出願とは別個に譲渡又は移転することができる。また,(1)の規定において,権原ある承継人というときは,それに応じて解する。
第41条 他の関連外国出願からの優先権主張
(1) 本条の規定は,アイルランドが商標の相互保護に関する国際条約,協定,取決又は合意を締結している国又は地域にも適用される。
(2) 政府は命令により,本条が適用される国又は地域において正規に商標の保護のための出願をなした者に対し,当該出願の出願日から特定の期間,同じ商品又はサービスの一部又は全部について本法に基づいて同じ商標を登録する目的で,優先権を付与するための規定を定めることができる。
(3) 本条の規定が適用される国又は地域に関して,本条の規定に基づく命令により,パリ条約加盟国に関する第40条の規定によりなされている規定に相応する規定又は政府にとって適正であると認める規定を定めることができる。
登録手続 第42条 出願の審査
(1) 長官は,商標の登録出願が本法の要件(規則によって課される要件を含む。)を満たしているか否かについて審査する。また,本条において,それらの要件は,「登録要件」という。
(2) 長官は,登録要件が満たされていないと認める場合は,出願人にその旨を通知し,かつ,長官が指定する期間内に説明又は出願の補正を行う機会を与える。
(3) 出願人が登録要件を満たしていることを長官に認めさせることができない場合,又は要件を満たすように補正することができない場合,若しくは指定された期間の終了までに応答することができない場合は,長官は,その出願を受理することを拒絶する。
(4) 長官は,登録要件が満たされているものと認める場合は,その出願を受理する。
第43条 公告,異議申立手続及び所見
(1) 登録出願が受理された場合は,長官は,公報にその出願を公告させる。
(2) 何人も,公報での当該出願の公告の日から所定の期間内に,長官にその登録に対する異議申立の通知を行うことができる。また,この通知は,所定の方式の書面により行うものとし,異議申立の理由の陳述を含む。
(3) 出願が公報に公告された場合は,何人も,当該商標の登録前は何時でも,当該商標が登録されるべきか否かについて長官に対し書面による所見を提出することができる。また,長官は,その所見を当該出願人に通知する。
(4) (3)に述べる所見を提出する者は,これによってその出願に関する手続の当事者になることはできない。
第44条 出願の取下,限定及び補正
(1) 出願人は何時でも,書面による通知により,自己の出願を取り下げ又はその出願で指定された商品又はサービスを限定することができる。また,その出願が公報に公告されている場合は,取下又は限定も公報に公告される。
(2) (1)に述べる取下は,その取下の通知の日から3月の後は撤回できない。
(3) (1)の規定以外の場合においては,出願人の請求により,補正が当該商標の同一性に実質的に影響を及ぼさない限り,又は当該出願で指定された商品又はサービスの範囲を拡大しない限り,出願を補正することができ,また特に,(この制限に従うことを条件にして)次の事項を訂正する補正をなすことができる。
- (a) 出願人の名称又は住所
- (b) 語句又は写の誤記,又は
- (c) 明らかな誤り
(4) 商標の表示又は当該出願で指定された商品又はサービスの表示に影響を及ぼす補正の公告に関し,及び,それによって影響を受けることを主張する者が不服申立をすることに関しては,規則により規定を定める。
第45条 登録
(1) 出願が受理され,かつ次の場合は,長官は,当該出願を受理した後に知るに至った事情により,その出願が間違って受理されたものと認めない限り,当該商標を登録する。
- (a) 第43条(2)に規定する期間内に異議申立の通知がなされていない場合,又は
- (b) すべての異議申立手続が取り下げられ若しくは当該出願人の有利に決定されている場合
(2) 商標は,所定の期限内に所定の登録料が支払われない限り,登録されないものとし,また,所定の期限内に登録料が支払われない場合は,その出願は取り下げられたものとみなされる。
(3) 商標が登録されたときは,登録出願の出願日に登録された。また,本法の適用上,その日が登録日とみなされる。
(4) 商標の登録に基づき,長官は,当該登録を公報に公告するものとし,かつ,当該出願人に登録証を交付する。
(5) 当該登録手続は,(4)の規定に基づく公告の日に完了したものとみなされる。また,その日が登録簿に記載される。
第46条 登録:追加規定
(1) 次の事項は,規則により規定を定めることができる。
- (a) 単一の商標登録出願を,原出願と同じ出願日を有する複数の出願に分割すること
- (b) 独立した出願又は登録を併合すること,及び
- (c) 連続商標を1つの登録にまとめて登録すること
(2) 「連続商標」とは,それらの本質的特徴が互いに類似しており,かつ,商標の同一性に実質的な影響を及ぼさない識別性のない事項のみが相違しているいくつかの商標をいう。
登録商標の存続期間,更新及び変更 第47条 登録の存続期間
(1) 商標は,登録日から10年間登録される。
(2) 登録は,第48条の規定に従い,更に10年間その期間を更新できる。
第48条 登録の更新
(1) 商標の登録は,所定の更新手数料に支払を条件として,その商標所有者の申請により更新できる。
(2) 登録の期間満了前に,長官が満了日及び当該登録を更新する方法を当該登録商標の所有者に通知することに関し,規則により規定を定めることができる。
(3) (4)の規定に従うことを条件として,更新の申請及び更新手数料の支払は,登録の満了前にしなければならない。
(4) (3)の規定が満たされていない場合は,更に所定の追加期間(6月を超えない。)内に更新を申請し当該手数料を支払うことができる。この場合は,当該期間内に所定の追加更新手数料も支払わなければならない。
(5) 更新の期間は,その前の登録の期間満了から有効である。
(6) 前記の規定に従い登録が更新されない場合は,長官は,当該商標を登録簿から抹消する。ただし,所定の要件がある場合はその要件に従うことを条件として,登録簿から抹消された商標の登録を回復することに関し,規則により規定を定めることができる。
(7) 商標の登録の更新,抹消若しくは回復は,公報に公告される。
第49条 登録商標の変更
(1) 登録商標の所有者は,商標の同一性に実質的に影響を及ぼさない方法で商標の追加若しくは変更を求めることを長官に所定の様式で申請することができる。また,長官は,自己が適切と認める条件に基づき,かつ,そのような制限に従うことを条件として,その認可を拒絶することができる。
(2) 長官がそうすることが望ましいと認める場合は,長官は,(1)の規定に基づく申請を公報に公告させることができる。
(3) ある者が,(2)の規定に基づく申請の公告日から所定の期間内に,当該申請に対する異議申立を所定の様式で長官に通知する場合は,長官は,その両当事者を聴聞した後,本件を決定する。
(4) (1)の規定に述べる許可がなされ,かつ,当該商標がその変更された形で(2)の規定に基づく公告が未だなされていない場合は,当該商標は,その変更された形で公報に公告される。
産業財産権により商標を強力に保護することが可能になります。
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